ジェットさんよぉ。カボチャのないハロウィン なんてのは、ハロウィンとは言わねぇんじゃねぇか?「カウボーイビバップ 天国の扉」渡辺信一郎(監督)/感想

 ハロウィンが一体何を祀るイベントなのかは全く知らないけれど、格好良いとはどういうことかはよく知ってる。つもり。





 ハロウィン間近の火星の街でテロが起きる。当局はバイオテロの可能性をほのめかし、謎多きテロの首謀者に賞金をかける。いつもの面々はいつも通り協調性の欠片も無いまま犯人を追い求め、最後には.....という分かり易い話だったわけだけど、こうして改めて観て見ると、それでなくとも綺麗だったTVシリーズ以上によく動く作画が迫力満点で見応えがある。菅野よう子さんのサントラもよりパワフルだ。なのに、何故か、物足りなさというか、違和感を拭えない自分がいる。


 綺麗に終わったTVシリーズ後の後付けエピソードだからだろうか?「ブレイン・スクラッチ」や最後の殴り込みを見た後だと、少しお行儀が良過ぎてパンチに欠けるような気は確かにする。終盤のエピソードに収まるよう作った話だから、笑いよりシリアスがメインで、まるで押井守作品のような風情だったのも気にはなった。寂しさ全開で終わるTVシリーズだからこそ、劇場版ではもっと明るい彼らを僕は観たかったのかもしれない。


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ほんの少ししか使われないシーンの一つ一つが絵になる



 ビックショット、三人の老人、ネイティブアメリカンの占い師、何もかもが酷く懐かしい。またこんな連中と宇宙を旅してみたいもんだ。それにして、果たしてカウボーイビバップの舞台である2070年代までハロウィンというイベントは生き残っているのだろうか?出来ることなら、100年先の人々にカウボーイビバップが届くと良いなと思う。サブタイトルの由来になった「Knockin' on Heaven's Door」を歌ったボブディランは間違いなく100年先まで届きそうではあるけれど....





 アディオス、カウボーイ.....

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posted by lain at 06:57北海道 ☔アニメ

自分=迷宮 それが人生かも「迷宮」中村文則/新潮社

 胸を張って言うことでも無いけれど、僕は周囲から”面倒な人”だと思われている。実際自分でもそう思う。

 誰かと親しくなるとあえて距離を取ろうとしたり、ビンゴが揃っていても商品を取りに行かなかったり、PS版よりSS版(セガサターン)を優先し、好きな子に告白されても断り、些細な問題の引き合いに宇宙の創造まで持ち出したり、とにかく逆を行こうとする。それらの選択には中途半端な知識と局所的な経験、そしてマイナス方向への希望的観測が大きく影を落としているから嘘に塗れ放題ではあるものの、何処か確信に近い真実も含んでいるため、余計周囲を苦しめ、傷付け、タチが悪い。自分でもどうしてこんな悪癖を身に付けてしまったのか分からない。

 こんな自分と貴方は似ている。と言ったら、中村文則さんは気を悪くするだろうか?


 「悪と仮面のルール」を読んでみたいと思っているうちに、1年2年と時は過ぎ、本作が書店に並んでいるのを見かけて、ぶっちゃけジャケ買いしてしまった。黒髪の少女の裸体を折り紙が覆い隠しているような佐々木美穂さんのイラストに一目惚れだった。普段は少女を描く人ではなく、クライアントのイメージをそのまま形するような柔軟さのあるイラストレーターさんのようで、HPでその仕事っぷりを少し拝見しただけでも同じようなデザインが一つとして無いくらい多彩で面白かった。

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 で、肝心の中身はと言えば、少々胃にもたれるくらい陰気な主人公とストーリーで、自分の闇の部分を請け負ったもう一人の人格を持っていた男が、一家惨殺事件の生き残りである女に出会い、事件の真相と美しい女にどっぷり浸かって行くという内容は個人的に好きな部類ではあったものの、文章の書き方が少々好みでは無かったかもしれない。モノローグで語るのも多いし、普通の会話シーンでも説明が明快過ぎるのが苦手なのと、芝居がかった言い回しが鼻につくのも少々興醒めだった。そして何より、同族嫌悪的な物を感じずにいられなかったことが、本作を素直に愛せなかった一番の理由だと思う。やはり世代ごとの色からは逃れられないものらしい....

 吐き出したい想いが沢山あって、自分はこうしたい!と思っているのに、それを上手く形に出来ず鬱々と過ごし、溜まりに溜まって何もかもぶち壊したくなり、個人的な希望を世の中の事実とすり替え周囲に信じ込ませようとする感じとでも言えば良いのだろうか?言ってる自分でも良く分からなくなってしまうけれど、誰も幸せにならないような毒を振り撒きたがる癖が中村文則さんにもあるように思えてならない。たった1作読んだだけで判断するのは性急かもしれないけれど....



 こんなザマで「教団X」なんて読んだら、更に頭の中がぐちゃぐちゃにされてしまいそうで怖いw






 佐々木美穂HP http://www.h3.dion.ne.jp/~nilo/
posted by lain at 07:17北海道 ☔小説

スネ夫がプーで、ジャイアンがスネ夫だった

 旧ドラえもんキャストの一人、スネ夫を演じていた肝付兼太さんが亡くなっていたと知り、ぼんやりドラえもんのWikipediaを眺めていたら、僕が当たり前に観ていたドラえもんの前にも、違うキャストで放送していたことを思い出した。

 改めて1作目のドラえもんのキャストを見ると凄い冒険の匂いがする。ドラえもんには”バカボンのパパ”や「銀河英雄伝説」の”ビュコック”爺さんの富田耕生さん(途中から野沢雅子さんにスイッチしているのも面白い)、のび太は2作目でのび太のママを演じることになる太田淑子さん、スネ夫には「くまのプーさん」の”プー”役を長らく勤めた八代駿さん、そしてなんとジャイアン役には肝付兼太さんだったから驚くべき話だ。

 同じように意地悪キャラではあるけれど、立ち位置がまるで違うジャイアンとスネ夫。一体どんな風に肝付さんが演じられたのか、非常に気になるところではありますが、公式な動画は大人の事情で見れやしないので、いつも通りのYouTubeさんにお願いしました。

※6分15秒辺りからジャイアンが泣いている


 一見すると意外な人事に思えるものの、実際耳にしてみると2作目のスネ夫の面影をまったく感じないジャイアンらしいジャイアンで、流石役者といったところ。アニメのお仕事ばかりしている今の若手には無い幅を感じます。若くても舞台やナレーション、海外ドラマの吹き替えなどをこなしている声優の方が演技に深みもあるし柔軟性がまるで違う。職人さんのように一筋で鍛錬するのも良いけれど、それこそ険しい道を行かねば物になら無い気がします。いっ時の人気に甘えず、新たな挑戦をどんどんやって、声だけでなく中身も鍛えて貰いたいなと思いました。

 兎にも角にも、様々な作品でお世話になった肝付兼太さん、有難うございました。本当にお疲れさまです......
posted by lain at 07:14北海道 ☔雑記