ヒデオとボクとLow Roarと

現在絶賛夏休み中の子供達がなりたい職業と言えば、お医者さんにスポーツ選手警察官宇宙飛行士なんてのも定番だが、いつの時代からかゲームクリエイターなんていう職種も仲間入りしている。ファミコンから30年以上を経て、宮本茂(スーパーマリオ)さん、桜井 政博(スマブラ)さん、三上 真司(バイオハザード)さん、坂口 博信(FF)さん、など、世界も認めるクリエイターが大勢生まれ、ゲームが娯楽として広く認知されるようになったのだから、至極自然な成り行きなのかもしれない。


かく言う僕も大好きなクリエイターがいる。メタルギアシリーズの生みの親である小島秀夫さんだ。映画監督でも無いのに周囲から敬意を持って"監督"と呼ばれる小島さんを意識したのは、ごく普通に初代MGSだった。顔もよく分からないポリゴンキャラでありながら、まるで映画の中に迷い込んだような感覚になれる素晴らしい脚本とゲームデザインで、ひたすら夢中になった。のちに昔遊びたくともPC-9821シリーズを持っていなかった為遊べずにいた「ポリスノーツ」も手掛けていたことを知り、出逢うべくして出逢ったのだと不思議な縁を感じたりもした。


なんというか、心酔と言うより価値観に共感する物があるというか、誰もやらなかったことをゲームに取り入れようとする貪欲な姿勢や、ファンへのサービス精神の強さが好きなのだと思う。ネット配信のラジオや動画に自ら出演して好きな物(映画・本・音楽)の話をしたり、ゲームに自分を出してしまうくらい出たがりさんだから勿論敵も少なく無いが、そんなところも含め小島監督が好きだ。監督が居なければ打海文三さんや伊藤計劃さんとも出逢っていなかったかもしれないと思うと、本当に小島秀夫に出逢えて良かったと心から言える。脱コナミを果たしたコジプロが手掛ける「DEATH STRANDING」のトレーラーに使われた「I'll Keep Coming」を歌う”Low Roar”にもお陰ですっかり、どハマり中だ。




静かにゆったりと、尚且つ不穏さを持って響いてくる楽曲とボーカルの前に全ての虚勢が溶けてゆくのを感じる。上手く言えないが、真顔でリラックス出来るような感じの曲だ(全然伝わらない)


兎に角、内側の闇をエネルギー源にしている小島監督らしい選曲なのは間違い無いし、怒りを糧にしている僕にぴったりな音楽だった。優しくも厳しい女性のような声をしているライアンの存在感も本当に素晴らしい。彼の別グループ"Audrye Sessions"も聴いてみたくなった。





好きなことで生計を立てようとしても、実際は辛いことばかりで当たり前だし、いくらゲームクリエイターになったところで、小島監督のようにイキナリなれるわけでは無い。自分に出来ることを根気強く続け、結果がついて来るまで焦らず頑張り抜いた者でも夢の尻尾を僅かに掴んだ程度の実感しか無いことだろう。

隣の芝生は永遠に青いままなのだと理解したうえで、それでもまだ戦う意思があるのなら、夏休み返上でやれること、やらなきゃならないことを頑張って欲しい。楽して得られるのは自己嫌悪と愚痴だけなのだから。

posted by lain at 07:04北海道 ☔Comment(0)音楽

すんなり楽しませてくれない悩ましさ「バケモノの子」細田守(監督)/スタジオ地図/2015年/感想

金ローで放送された物を二日遅れで観たわけですが、自分では何も作れない男の妬み半分としても、細田さんほどの経験があればもっと違うアプローチの仕方が出来るんじゃねーの?と、モヤモヤばかり残ってしまった。。。




両親が離婚し母方に引き取られていた少年”蓮”が、今度は母親を失い親戚の家に引き取られそうになって街へ逃げ出し、バケモノの世界に通じる道へ迷い込んで、その世界の次なる長を目指す”熊徹”に半ば強引に弟子にさせられてしまう......という冒頭の段階でぽかーんと僕などはしてしまったが、終盤になると普通に感動出来るように設計されていて、流石に上手いものだと思った。

なんというか、やりたいことは分かる。孤独を抱える者同士、不器用なりに互いを高め合う、血の繋がりに左右されない絆の物語を細田さんはやりたかったのだろう。しかし、どうしてもジブリがチラついて物足りなさを感じてしまう。バケモノの世界へ誘われる雰囲気は「千と千尋の神隠し」を思い出したし、食事のシーンやバケモノがよりバケモノらしい身体に変化して戦うシーンみたいに、実際にはありえないけれど魅力的に感じる動きは宮崎駿の十八番。バケモノがバケモノらしく変化するシーンなどは、もっと生っぽい異形の怖さを感じるデザインにして欲しかったのだ。

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上半身を大きくするだけでなく、もっと特有の化け物らしさが見たかった

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化け物達の姿が、まるで着ぐるみやコスプレにしか見えなかったのも残念(右の男の子には理由があるけれど...)


蓮と熊鉄の修行シーンなども、何処かの映画で見たような感じだったし、オリジナリティは正直何処にも感じない。作画的には実に凝った物になっていて、よく動くし綺麗なものだけど、妙にこざっぱりとし過ぎているようで物足りない。

 声優選びも相変わらずちぐはぐで、「”技術”でお芝居をするのではなく、存在感」で選び、収録もキャストを一堂に集めて行いバランス取りをしているなどと言ってはいるものの、個性的で我が強い彼らをバラバラに選んでも意味は無いのでは無いだろうか?存在感が大事だからと言って、キムタクのように周囲の演技を気にしない役者ばかりではバランスなど取りようが無い(本作にキムタクとか全く関係無いけど)。手垢の付いた声優が云々と言う割に、宮野真守や山口勝平さんは出ているわけで、所詮客寄せや資金繰りの問題でキャスティングしたに過ぎないと思ってしまうのも無理からぬ事だ。



前作の「おおかみこどもの雨と雪」の際スタジオまで立ち上げた結果、より自分の好きなように作品を作れるようになり、適切なアドバイスを周囲から貰えない状態になっているんじゃなかろうか?富野由悠季監督などもそうだが、大物になればなるほど周囲がダメ出しをしなくなり、作品のバランスが著しく偏りがち。どうも細田さんも同じような道を歩んでいるようで不安になる。「時かけ」以降家族に重点を置いた作品ばかりを作っている細田さんは、いつも真っ向勝負というより搦め手(ファンタジー)が多いのも引っかかる。一度そういった装飾を取り払った物語をやって欲しい。細田さんの好む絵なら、現代人が切実に抱える闇を扱った繊細な物語こそ合いそうだ。出来れば脚本も違う方に修正して貰った方が良いだろう。あの宮崎駿でさえ、行き当たりばったりで世界観やストーリーを作っているのだから、あれもこれも自分で全部やろうなどと常人が考えても苦い思い出が増えるばかりだろう。

まだ48歳なのだ。後10年は修行のつもりでスタイルを決めずチャレンジして貰いたいと思った。



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posted by lain at 06:58北海道 ☔Comment(0)アニメ

今度はドラマでよちよち歩き「ベイビーステップ」Amazonビデオ/感想

 学校の成績は優秀で、ノートのとり方から何から何まで几帳面に決めないと気がすまない高校生”丸尾栄一郎”がテニスと出逢い、目の良さと持ち前の分析力を活かして着実に成長していく行程が面白い「ベイビーステップ」

 アニメ化の際は原作を知らなかった為さほど期待しておらず、変な髪型の主人公だな程度に思っていたものの、知ってるようで知らなかったテニスのことを丸尾くんと学べたり、彼の前に立ちはだかる個性的なライバル達が思いの外面白く、知らぬ間に毎週欠かさず観たい作品になっていた。

 そんなベイビーステップの実写版をつい出来心で配信日に観てしまったわけだが、別に配信を心待ちにしていたわけでもなんでもなくて(それこそたまたまAmazonビデオを覗いたら見つけてしまっただけ)これまた”期待していなかったから楽しめてしまった”作品になってしまったかもしれない。







 演技も顔もそこそこ程度のキャストで、ヒロインである”鷹崎奈津”を演じる”季葉”ちゃんも原作のような元気印の可愛い子というより、下々にも気さくなお嬢様のような雰囲気で、モデルをやっているだけに手足が長いハーフっぽい顔つき(帰国子女だから肉親に海外の方が居そうな予感)が特長的である以外演技は下手。しかし、テニスのシーンになると、かなりしっかり役者が動いているから普通にハードそうで見応えはあった。えーちゃん(丸尾栄一郎)が実は空っぽだった自分と葛藤する場面で、もう1人の自分を登場させる演出も古風で良い。こちら(丸尾くん)もアニメから印象がガラッと変わってしまったが、これはこれでアリな演技を”松岡広大”くんが見せているから、これから先の頑張りに期待が膨らむ。

 なんていうか、原作を踏襲しつつも別な作品を作ろうとしている心意気を感じるというか、原作の丸尾ヘアーを真似しないでくれただけでも凄く好印象だった。現実と掛け離れた世界感の作品が実写になった時、一番辛いのがCGとコスプレだから、まずそこをクリアしてくれればある程度観れてしまうんだなと思った。




 低予算でも日本発のAmazonオリジナルコンテンツが増えるのは良いことだ。どこどこ独占だと見る人の数が限られちゃうから、コンテンツ的には良いことじゃないのかもしれないけどね...

 あ、なんか今WOWOWオリジナルで盛んに作ってたドラマ達の末路を思い出した.......





ベイビーステップ シーズン 1 Amazonビデオ https://www.amazon.co.jp/dp/B01IJ2GJZK/ref=cm_sw_r_tw_dp_X.0KxbYTQ1HF5 

posted by lain at 07:18北海道 ☔Comment(0)てれび