SWに"悪いロボット"がやって来た「スター・ウォーズ/フォースの覚醒(原題:STAR WARS: THE FORCE AWAKENS)」/J・J・エイブラムス(監督)/感想

※若干ネタバレ












製作が決定した時は劇場で観ようと普通に思っていたのに、映画が出来上がってからのあまりにも金をかけたプロモーションが鼻について、すっかりテレビ放映待ちに切り替えていたスターウォーズEP7でしたが、昨日早くもデジタル配信が始まったと聞いてついレンタルしてしまいました。





今回は初めてルーカスじゃない人が舵を取り、彼の威光を物ともしないSWが誕生したのですから、いずれ訪れるかもしれない”小島秀夫”製じゃない『メタルギア』が(ライジングはさておき)無理矢理作られるのと同じで、当然あちこちから不満が上がるはずだと思いきや、大半の反応はその逆で、こういうスターウォーズを待っていた!と喜んでしまったから皮肉な話。

ルーカス個人の新しいことをしたい気持ちをポジティブに汲み取っていたコアなファンには物足りない作品かもしれないが、僕としてもJ・J・エイブラムス製のSWを気に入ってしまった。あまりそこまでSWに詳しく無いのと、関連作品(漫画・アニメ等)にも精通していないからこそ、過去のSWをなぞるような演出や登場人物配置にイラつく事も無く最後まで楽しめたのもあると思います。ガンダムSEEDを見た時のモヤモヤに比べれば、そよ風みたいに可愛いものでした。

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大きな船の残骸から出て来るレイがナウシカにダブって見えた

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乱れた髪も可愛らしいデイジー・リドリー

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砂漠には不向きに思えるが、身体を転がして移動するアイディアは凄く面白くBB-8は可愛い

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新たなる仮面の男。かなり小心者ではあるものの、レイ同様にこの先の変化が楽しみな存在。

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待ってましたのコンビ復活。これだけハリソン・フォードが動けるならブレードランナーの続編も楽しみであります






あぁハン・ソロ老けたな....レイア姫もだな......チューバッカは変わんねーなぁ....と、しみじみ思ったし、彼らと所縁のあるキャラクター達がドラマを盛り上げ本当に楽しいお祭り騒ぎで、新たな主人公であるレイやマスコットのBB-8もキュートで魅力的。レイ役の”デイジー・リドリー”はまだライトセーバーの使い方が下手だけど、師も居ない状態での戦いだったのだから当然なのかもしれない。EP8以降でいかにデイジーが成長した姿を見せられるかによって、新たな三部作が成功するかどうかが決まるのかもしれない。

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感動の
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再会....








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お前空気読めよC-3PO

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出逢い・再会・決別と、印象的なシーンが続くEP7ですが、この二体が戯れるシーンも微笑ましくて好きだ



それはそうと、今回はなんと敵側のキャラが味方に付くという展開になる。子供の頃に何処ぞから攫われ兵士として教育されたが、殺戮に駆り出された先で良心の呵責に苛み、囚われたレジスタンスの男を助け共に組織を逃げ出すストームトルーパーの男なのだが、ガチガチに洗脳教育を受けて来たわりに、感情豊かでお調子者なのが少し気になった。感情はまだ死んでいるが、微かに残った善なる気持ちが離反への道へ誘った....みたいな、人間味が目覚めつつある機械のような人物の方が僕個人としてはしっくり来たかもしれない。まあ、彼がいたことで重過ぎない笑いのあるSWへバランスを取れたというのはあるのだろう。

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どこからどこまでがCGなのか本当に判別出来ない時代だと痛感する美麗な美術も素晴らしかったし、ダースベイダーの意外な残し方も味わい深い....
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序章も序章であるけれど、いきなり大ボスのようなえげつない物と戦うことにもなるし、あの人が早速お役御免になるなど、のんびり懐かしい気分で故郷を眺めている暇が無いほど見せ場が満載でごく普通に楽しいSWでした。次は本当に劇場で見たいかもしれない。やっと登場したかと思えば、1分そこそこで一言も発せなかったマーク・ハミルとデイジーの絡みにも期待が膨らむ。派手な戦闘シーンも楽しいが、そこに至るまでの地道な特訓風景というのもSWの醍醐味だと思うから。




次も頼んだよエイブラムスター・ウォーズ

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posted by lain at 07:21北海道 ☔Comment(0)映画

中年だって生きているんだ「ベター・コール・ソウル シーズン2」ヴィンス・ギリガン(製作)/AMC/海外ドラマ/感想

 なんでこうも駄目男のドラマが好きなんだろうか?

 そんなことを考えながら、「ベター・コール・ソウル」のシーズン2を観ていた。やっぱり自分も駄目男だからなのか?同じ穴の狢同士、分かり合えてしまうのか?

 少なくとも、主人公のジミーには同情を禁じえないし、彼を否定する人々も何処か愛しく感じられるドラマなのは間違いない。根は善良だが全力で幼稚なジミーが、大人の皮を被った連中を掻き乱す様子を見ていると、かなりヒヤヒヤするが、普段の自分がしたくとも出来ないことをやってくれることに気持ち良さもある。そして、そこに罪悪感がほんのり残るというのもこのドラマの良さなんだろう。





 それからこのドラマのもう一人の主人公であるマイクの頑固さも相変わらず魅力的だった。孫や死んだ息子の嫁と接する時とはまるで違う顔を悪党共の前では晒し、一人きりの時は一言も喋らず何やらやっているのだけど、どのマイクもとても絵になる。ブレイキング・バッド同様に意味ありげな冒頭や、何かしらの仕込みをしているマイクの淡々とした姿など、無駄に説明口調を使わず視聴者にヒントを与えるような作りがヴィンス・ギリガン作品は上手いと思う。空気感だけであれだけ尺を保たせられる日本のドラマは最近あまり見たことが無い。映画的な絵作りを国内ではほとんどしていないこと、そして兎に角決まった話数・尺に合わせて詰め込もうとするから情緒も損なわれているように思う。

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 無駄に金をかけ、CGで誤魔化し、人気の若い芸能人を抜擢してもドラマ自体が良くなるわけではない。ヅラや衣装がセットに馴染まないドラマ、お馴染み過ぎるラブコメ、漫画・小説原作に頼りっきりの作品、欠伸が出るほど使い古された2時間枠等々にはうんざりだ......

 たまには中年が主役で、じっくり心象を抉り取るようなドラマが国内でも人気になって良いのでは無いかとしみじみ思った。




 そういう意味で言うと、「孤独のグルメ」は良い線行ってるドラマなのかもしれない。なんとも言えない間のあるドラマであるし。もっと俺も頑張らないと駄目だ。若い連中の為だけにこの世界があるのでは無いのだから。









 関連過去記事


人生やり直せるなら、ゲームに頼らない人生を歩もうかしら?....「Quantum Break」Remedy Entertainment/Microsoft Studios/Xbox One/感想

TVゲームやPCゲームと呼ばれる物を遊ぶようになって、かれこれ30年近くになる。友達の家でファミコンを知り、両親が奮発して買ったPC98でテトリスをしこたま遊んだ日々も遥か昔の事だ。

あれから色んなゲームを、色んなゲーム機で遊んだ。それこそ限られた時間をどれだけ注ぎ込んで来たか分からないくらい遊んで来たから、もしも累計のプレイ時間を聞かされでもしたら、少々凹むことだろう。

 『お前は他にやるべき事があったんじゃないのか?』

と.....



アニメや海外ドラマにしても同じことが言えるかもしれない。何かを成す主人公達をブラウン管ごしに眺め満足する暇があるなら、その時間を使って自分を彼らのようにするべく努力した方がよほど有益に違い無いのだ。聴き流すだけで英語が身につく某教材のように、ただ見ているだけでヒーローになれるアニメやドラマでもあれば話は別だが、当然そんな物はない。


しかし、そんな無為に過ごしたように思える時間は本当に充実していたし、勇者にも愚者にもなれる嘘の世界に様々な事を教わったお陰で生きて来れたのも事実だから、全てが無駄だったとは思わない。

ただ残念なことに、あまりにも色んな創作物に触れ、現実の世界をそれなりに肌で知り、そしてあらゆる娯楽が様式美から逃れられなくなりつつある現在になると、最早得るものより失うものの方が多い気がしてならない。もっと新しい刺激を身体は欲しているのだ。

そんな、ゲームだけでもドラマだけでも満足出来なくなって来た僕の中に、Quantum Breakは少しだけ踏み込んで来た作品だったかもしれない。






"兄とタイムマシンを開発した親友に呼ばれ、時間移動の実験を目の当たりにした主人公だが、思わぬ事故が発生したうえ信じられない人物に兄を殺され、事故の際身に付いた力を使い、壊れゆく時間を直そうとする...." というお話で、昔からこの手のやり直しストーリーに僕は目がない。ハッピーエンドでもバットエンドでも、現在の大切さを実感出来ている気がするからだ。何度試しても望む未来が手に入らない展開は特に胸に残るもので、Quantum Breakもスッキリ終わらないのが実に味わい深かく、誰かが過去や未来へ行って何かすることすら、全て最初から定められた流れの中での出来事であり、何人も逃れられないのだという縛りが有るから、得体も知れない存在への畏怖や憤りが湧いて悩ましかった。

無論過去改変物にありがちな都合の良い解釈が目に付く所もあるし、そもそも過去に行く時点で世界の均衡は崩れそうだと突っ込み出したらキリがない。しかし主人公だけではなく、悪役や脇役にもしっかりドラマを感じる事が出来る作りが上手いのと、長い実写パートを各章ごとに挿入していることで、仮想の世界と現実の世界を行き来しているように感じるのも新鮮だった。好みというのもあるから、これが最善の演出だとは言い切れないけれど、こういった手法を試みた心意気こそ大切だと僕は思う。今でも十分実写と見まごうCGではあるけれど、この先更に実写と見分けがつかない時代が来たら、逆にこのギャップを味わう楽しさというのが損なわれるのかもしれない。









ゲームプレイ自体はまあそこそこ普通といった所だったが、時間が止まったり乱れている時の映像表現は素晴らしかったQuantum Break。しかし、こういった手法もそれほど長くは保たないことだろう。他人が幸せになったり勇ましく戦うのを見たり操作するだけではなく、煩わしいコントローラーも使わずダイレクトに自分と自分の分身が繋がる物が必要な時期が来ていると思う。

VRが救世主となるのか、それともただ人を堕落させるだけの悪魔になるのか、どちらにせよバーチャルリアリティの中にしか刺激を感じない時代が来そうでわくわくと恐怖が僕は止まらない。

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posted by lain at 07:04北海道 ☔Comment(0)ゲーム