現金な奴だとお思いでしょうが、まさしく現金な奴でござんす「昭和元禄落語心中 1巻」雲田はるこ/講談社

 先週末、いつものように書店へ行った。小説とコミックの新刊をチェックする為である。

 とりあえず手に取ったのは、いよいよ佳境を迎える「ドーリィ♪カノン」の9巻。男の子が女の子としてアイドルデビューしてしまう少女少年シリーズは個人的に絶対外せない一冊。

 次にどうしようかと眺めたのは「屍者の帝国」のコミカライズ1巻。原作は”伊藤計劃”さんが書いた冒頭以外、上手く入り込めず挫折した苦い思い出があり、絵が付いたら少しは入り易いかもしれないと考えてはいたものの、「虐殺器官」「ハーモニー」ほど思い入れが無い為、しばらく買うか迷ってしまった。



 コンビニと自動販売機以外は、なんでもかんでもカード払いにしてしまう僕としては、本を買う時、1冊、2冊だと買い難く感じてしまう節があり、大抵3冊ほど本をまとめて買うようにしていて、この日も最後の一冊をどれにするか迷っていた。そこに飛び込んで来たのがアニメ化された影響でコーナーが設けられていた「昭和元禄落語心中」でした。アニメの落語心中は大好きだし、これは原作を手に取れと言う啓示だなと、手に取ろうとして、いつもの悪癖が出た。そう、ネットで幾らで買えるか調べてしまったのだ….

 すると、中古は今まさに旬な作品だけあって割高であるのに、電子書籍版がなんともお得な0円だったから目を疑った。まずは手に取ってどんな物か読んでみて欲しいと言う粋な計らい思えてならなかったのである(多分勘違い)

 結局書店では先ほどの2冊だけを買い、帰宅後早速Kindle(Amazonだけではなく、その他電子書籍サイトでも1巻は0円)にDLして落語心中を読み始めた。



 アニメ版と同じく与太郎が出所して真っ先に8代目八雲の元を訪れ、明け透けな与太郎の性格を気に入った八雲が彼をお持ち帰りするところから始まるものの、何故八雲が与太郎を気にかけてしまったのかが、アニメ版よりより分かり易く感じられるし、何より与太郎がちゃんと下積みをこなしているシーンが多いのが良かった。

 ただ、だからといってアニメ版が原作より下と言うのでも無いと思った。過去編に焦点を合わせる為の与太郎編の割愛であり、映像化にあたり、どれだけ落語を研究したか伝わって来る映像作りや声優さんの演技分けには頭が下がるし、実際、落語のシーンになった時の得も言われぬ緊張感たらなかった。誰も助けてくれない舞台の上で堂々と振る舞い、淀み無い日本語を自在に駆使する落語家の姿に言葉を失って釘付けになる。幾らプロとはいえ、僕らの想像を遥かに超える難しい仕事をアニメスタッフはよく熟しているものであります。






良い創作物は、人に創作意欲を与えるものです。”雲田はるこ”さんと「昭和元禄落語心中」は、まさにそうした相乗効果を周囲に与える存在で間違いない。

で無ければ、あれだけ面白いアニメになるはずが無いのだから。






posted by lain at 07:00北海道 ☔Comment(0)漫画