終わって行く日曜に未練たらたらで0時近くになってからこれを読んでいた。流石大作だけあって、表紙もなかなかに力が入った装丁である。
内容は無論お墨付き。それどころか結末付き(何度も原作が再販されたり、長年に渡りOVAや”道原かつみ”さんによる漫画が連載され、複数の劇団で舞台化される等、大勢が結末を知る状況にあると言う意味)の作品なので、面白さと共に沢山の懸念がファンと作者には伸し掛る状況だったものの、新たなコミカライズを進める”藤崎竜”さん達の舵取りは今のところファンを十二分に満足させ、新規ファンを獲得するまでに至っているように感じた。
小説でもアニメでも幼少時のラインハルトとは絡んだ事のない"トゥルナイゼン"の後付け設定(ラインハルトと同期であるという設定)を拾って咬ませ犬に仕立て上げていたり、セリフの端々にその後のエピソードを匂わせるキーワードを放り込んでいる辺りも上手い。藤崎竜さんの銀英伝好きは本物だと思った瞬間でした。
改めてアンネローゼ様の麗しさにドキッとした
個人的に少し気になるのは、銀英伝のもう1人の主役である”ヤン・ウェンリー”が後ろ姿でちょこっと登場するに留まっている点。まさかこのまま"スカートの中"の金髪の坊やと、ムッツリ赤毛(悪口じゃないですキリ)中心のストーリーに絞って終わらせるわけでは無いのでしょうけど、銀英伝の中で一番好きな男の登場が待ち切れず、少々ヤキモキしています。
どうやら2月発売のヤンジャン11号でヤン(紛らわしい)の出番が来たそうで、暫くは同盟軍側の話になるんじゃ無いしょうかね?ほぼ時系列通りで進む藤崎竜版、今度は同盟側をどう料理して行くのか、ますますもって注目せざる得ないです。
軽愚痴叩く子供っぽいキャラを描くのが上手い方ですし、ヤン艦隊の面々のような一見すると無責任にさえ見える連中は生き生きと原稿の上で動き回るに違いない。
それにしても......
こうして藤崎竜版銀英伝読んでると、キルヒアイスという男が贅沢者だったんじゃないかと思えて来た。絶世の金髪の男女を絶妙な距離感で愛でながら逝ったのだから...
— 葉月 瞬(星の子) (@i_lain_i) 2016年2月28日
関連過去記事
『壮大なスペースオペラもDMMの手に掛かれば金の成る木の四畳半ブルースに早変わり「銀河英雄伝説タクティクス」DMM』
『新たな伝説の1ページとなり得るか?!「銀河英雄伝説 」藤崎竜(漫画)/田中芳樹(原作)/ヤングジャンプ/集英社
』