約10年ぶりのナンバリング作であり、人気の高かった旧三部作EP4〜EP6の正式な続編だと言うから、世界中大騒ぎの「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
ここは一つ、旧作を振り返って是が非でも劇場に行きたい!と、思うべき所なのかもしれないけれど、僕は作品の方ではなく、作品を観る側の反応をまとめたドキュメンタリー映画に興味が向いてしまった。ほんと、素直ではない。
ジョージ・ルーカスに限らず、大作を生み出してしまった監督は、その作品自体に人生を狂わされる。お金の面でもそうだし、特にファンの存在である。素直にちやほやしてくれているうちは良いけれど、そのうちもっともっととせがむようになり、じゃあと作ってやればコレジャナイ!!のオンパレード。
スター・ウォーズに関しては、わざとEP4と銘打って作ったのだから、EP1〜3が観たい!とファンが思ってしまったのもルーカスに責任があるだろうが、ただ妄想を膨らませ二次創作に現を抜かしているだけのファンの要望に監督が応える必要は一切無いように僕などは思うものの、確かにEP1〜3は微妙だったから、不満の一つや二つ、熱狂的なファンなら平気で出て来るだろうことも理解出来る。
このピープルvsジョージ・ルーカスは、そんな兎に角素直じゃないSWファンの愛憎に溢れている。自分たちのSW愛をブーンブーンと振りかざし、EP1〜3で登場する特定のキャラの存在を否定したり、サブタイトルにケチをつけ、最初の三部作をデジタル加工で改変した”特別編”で、いつものように冒頭どーん!と出て来るSTAR WARSのタイトルロゴが画面奥への引いていくスピードが改悪されていることにまで怒る。確かに、モノクロ映画のカラー化に反対していたルーカスが、自作の改変により作品の雰囲気が壊れてしまうことを理解していないとは、SWファンでなくとも思えない。ちょっと正気に思えない人々の姿は怖いものがあるが、一理あると思ってしまうような説得力も無くは無いのだ。
自分はSWグッズに人生を狂わされた!DVDやBDなど、一体幾つ買わせる気だ!
と、様々な不平不満が飛び交う中、最後の最後でそれでも俺たちはSWとルーカスが好きだと終わらせる辺り、壮絶なツンデレ(おっさんばかりの)を見せられている気分になって脱力である。しかも、自分も同じようなことをしていることに気づいてしまった。富野由悠季監督の「Gのレコンギスタ」に対する違和感をつらつらと語っていた自分が彼らにそっくりそのまま当てはまるのだ。二人の巨匠は世代も近いし、何より富野監督はスター・ウォーズに大きく影響を受けていたりもするから、自然とファンも似たり寄ったりになるのかもしれない。分かるけど分かりたくない。そんなモヤモヤが募るドキュメンタリーだった。

45年の監督キャリアがありながら、スター・ウォーズ以外はほとんど監督として作った作品は無く、何を何処まで介入しているのか分からない役職”製作総指揮”にいつの間にか収まっていたジョージ・ルーカス。今度の新作もJ・J・エイブラムスに任せてアドバイザー程度の関わりしか無さそうである。
果たして、ルーカスからスター・ウォーズを取り上げることに成功したファン達は、今回のSWにどんな感想を持ったのだろうか?....