水木サン おやすみなさい...「墓場鬼太郎 <貸本まんが復刻版> 1巻」水木しげる/角川書店

 日本妖怪の父とでも言うべき”水木しげる”さんが昨日亡くなった。享年93歳である。



 大勢の著名人がその死を惜しむ中、僕は不謹慎にも『まだ健在でいらっしゃったのか』と、もう亡くなっている気になっていた。

 正直言って僕は「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメを子供の時分に観ていたと言う以外、水木先生との接点は無い。コミックでさえまともに読んだことは無かった。せいぜい図書室でこれが原作か、と、チラ見したくらいだ。だから、昨晩、香典代わりにAmazonでKindle版の「墓場鬼太郎」を買って読んだのが初めての”水木しげる”となった。

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 元々違う方の原作であった”ハカバキタロー”という紙芝居を、水木さんが承諾を得てオリジナルの紙芝居として作ったのがゲゲゲの鬼太郎シリーズとの関わり合いの始まりだったそうで、改めて貸本漫画家として連載を開始した「墓場鬼太郎」でも、流れが分かり易いコマ割りや、前回までのあらすじが冒頭にある回があったり、振り返りを兼ねて登場人物に自己紹介させたりと、紙芝居の特徴的な表現が見受けられました。

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版画のような黒の質感がたまらない

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自己紹介風なのが微笑ましい




 まだ1巻であるし、悪い妖怪を倒す鬼太郎アニメ(2008年の墓場鬼太郎以前のゲゲゲの鬼太郎作品のこと)のような内容では一切無いけれど、人間に追いやられ住処を失いつつある幽霊だの妖怪だのが、何かとしでかす様子には、恐ろしさだけではなく何処か愛嬌があって面白い。勧善懲悪な分かり易いヒーロー像を押し付けたゲゲゲの鬼太郎アニメではなく、この貸本版と呼ばれる墓場鬼太郎を元に2008年にアニメを作った人たちの気持ちが分かるというものだ。

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『これこれしかじか』は魔法の言葉

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汚らしい”ねずみ男”と、”金野なし太”のやり取りも最高である







 やはり作品を読む前と読んだ後では喪失感が違うもので、少し触れただけでも本当に素晴らしい漫画家だったのだと痛感しています。様々な時事ネタやパロディでウケを狙っている妖怪ウォッチ人気が鳴り止まない昨今ですが、そんな右から左へただ消費されるだけの作品ばかりに気を取られず、良い機会だと思うので水木しげる作品を僕のように経験して欲しいものだと思いました。

  今更凄さに気付いてごめんなさい水木先生.....


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posted by lain at 07:11北海道 ☔Comment(0)漫画