異形に萌ゆる霜月の朝「シドニアの騎士 15巻(完)」弐瓶勉/講談社

後にも先にも、こんな生々しい造形なのに萌えてしまう漫画は出て来ないのではなかろうか?などと、軽々しく口にしても過言では無い”シドニアの騎士”が終わった、実に寂しくも嬉しい気分である。

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「BLAME!」を本屋で見つけた時の衝撃が完全に和らいだ時期に、風の噂で存在を知った「シドニアの騎士」

いつの間に新連載を始めていたんだとチェックしてみれば、まさかのラブコメまで搭載したロボット物で本当に驚いた。絵柄も相当見易くリファインされていたから、これまでの弐瓶勉さんによるガチガチのSF臭が好きだった人は、この時点で相当脱落したに違い無い。僕も当然戸惑いはした。主人公が一言も話さずクールに旅をする「BLAME!」や、未知のウィルスの脅威に晒される人類の闘いを描いた「バイオメガ」のようなハードSFに惚れ込んだ口だからだ。

だが僕の場合、弐瓶勉さんのギャグと萌えがいかに美味であるかということは、シドニアにも登場する人語を話す熊や、殺伐とした世界に生まれた愛らしい幼女”フニペーロ”が登場するバイオメガで知っていたから、氏の新しいチャレンジに直ぐ順応して夢中になった。幾ら戦場以外では間抜けでモテモテな男が主人公で、一癖も二癖もあるヒロインが大勢出て来ようとも、ハードな世界感はしっかりとこれまでの弐瓶勉ワールドを踏襲していたし、むしろ萌えのおかげで、これまでの作品では出せなかった喪失感をシドニアでは描けていたのでは無いだろうか?


どうでも良いが、今回こうして可愛らしいキャラを沢山登場させたこと、本人は相当照れ臭いかったんじゃないかと思う。好きな人が出来るまで性別が定まらない子や、良い雰囲気になった途端退場の憂き目にあった王道ヒロイン、戦う為大量に造られたクローン少女達、怒ると怖い姿に変形するロボ子などなど、巻を追うごとに普通とは無縁の女の子が増えていったし、ギャグでキャラをわざと壊したり、人間では無いヒロイン”つむぎ”が一番可愛く描かれているのを見ていると、作者の捻れた変愛っぷりが痛いほど伝わって来た。何故にシドニアが面白いのかと考えた時、この変な愛情表現こそ隠し味なのでは?と思えてくる。


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愛らしさと対照的な物もしっかり描いているから、相乗効果でどちらも魅力的に感じてしまう。
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この変化をNoと言う人がいるのは仕方無いけれど、僕は上手く手を抜き、あざとさを効果的に発揮して描くようになった弐瓶さんの今のスタイルも好きだ。変わらない者に先は無いし、俺にだってロボや萌えは出来る!と証明してみせて弐瓶勉は漢だと思う。

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※描き込みは多いが、昔ほど無駄に線が入っていない。



つい先頃、55話を以って最終回を迎えてしまったWebラジオに続き、単行本も最終巻を迎えたけれど、果たしてアニメは3期の放送、もしくは劇場版で完結まで行ってくれるのか、ちょっぴり心配しつつ余韻に耽る朝である。




にしても、この濾過液保存容器何に使おうか?

黄色い液体でも入れて飲めば正解なのか?.....ゴクリ

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posted by lain at 06:51北海道 ☔Comment(0)漫画