たけのこの里派ですが何か?「猫とアレルギー」きのこ帝国/感想

メジャーデビューアルバム


そう聞いて「まだだったのか」と意外に感じてしまった。

元々インディーズの時点で完成度が高かったし、存在感も素晴らしかったバンドでした。それは今回のアルバムでも変わらない。

でも、永遠に変わらない物など無いし、変わらないだけでは面白くはない。「猫とアレルギー」はそういった側面を大いに体現して見せた作品だったかもしれない。





 きのこ帝国を聴いていると、まるで"森田童子"が歌っていた時代の日本に帰ったかのような錯覚を覚える瞬間がある。陰鬱で虚構に満ちた世界をひたひたと歩く寂しげな歌声に、このまま身を任せたくなるのだ。

ところが今回のアルバムでは、そんな彼女等の世界が氷解し始めているように感じてしまう。「フェイクワールドワンダーランド」で絶妙な均衡具合だった陰と陽が、猫とアレルギーでかなり陽寄りになり、優しく、暖かく、柔らかな歌ばかりなのだ。

 無論歌詞にはまだ愁いが漂っているし、これまでのきのこ帝国を存分に味わえる楽曲も幾つかある。だが”You outside my window”で「阿呆くせえ」と尖っていたきのこ帝国は何処かへ行ってしまったようだ。


 これまでの流れに心底惚れていた人には若干肩透かし。ここから好きになった人にはど真ん中。アーティストにとって良いことなのか、悪いことなのか難しい話ではあるけれど、発展途上だからこその魅力と言うのも確かにあるし、それにCD音源よりライブの方が映える気もするのだ。予定が合わず諦めた対バンツアーでこそ本当の意味での真価が分かるアルバムなのかもしれない。


 




 なんだかんだと言っても、相反する想いが錯綜しているようなタイトルそのままに、諦めと憧れが綯い交ぜになった良いアルバムでした。

メジャーデビューしたからと言って、硬くなったり義務感に囚われず、形は変われど"らしい"楽曲と共に成熟して行って欲しいですね。







 きのこ帝国 OFFICIAL WEBSITE





posted by lain at 07:21北海道 ☔Comment(0)音楽