こんな言葉をファンから貰えたら、漫画家も本望でしょうね→「あなたの世界で終わりたい」あおのなち/一迅社/感想

391EC8CE-C525-40B1-9016-471D5F8D756E.jpg
セーラー服とイケメンと血を連想させる紅い表紙に思わずBLOODシリーズを重ねてしまい手に取った本書でしたが、とても青臭く淡白。抽象化も不完全。同人作品であるなら良い味わいで済みそうではあるけれど、プロの世界では詰めが甘いと言われそうな出来かもしれない。

 しかし、酷く個人的な狭い世界独特の生々しさや、心の渇きの表現が絶妙で、じわりと胸に届いて来るから読後感はかなり良い。

まだ発展途上にある繊細な絵を見ていると、今は亡き”ラポート”ブランドを思い出します。不完全ならではの魅力という物があることを存分に教えてくれた良い会社でした....


IMG_9471.jpg
普通の少女と翼がある少年の切実さがなんとも言えない「Goodbye my bod」

IMG_9474.jpg
周囲との価値観のズレに鬱屈する青年の複雑な心模様を拾い集める「僕等の破片」

IMG_9473.jpg
まるでamazarashiの世界に出て来そうな夢の住人が愛おしい「Mr.wonderland」

IMG_9475.jpg
自分の世界から逃げ出した少女と、血を嫌う吸血鬼の悲恋「貴女の世界で終わりたい」






本作に収録され短編ひとつひとつに良いところがあったので、それらが上手く繋がり合ったら更に良い光景が拝めそうな気がしました。

不完全な要素が化学反応を起こしているからこその作品なので、絵やストーリー作りに熟れて来ると、逆に面白味が損なわれる、なんて事もあるかもしれませんが...






あおの(@aooont)さん | Twitter


posted by lain at 07:19北海道 ☔Comment(0)漫画

たけのこの里派ですが何か?「猫とアレルギー」きのこ帝国/感想

メジャーデビューアルバム


そう聞いて「まだだったのか」と意外に感じてしまった。

元々インディーズの時点で完成度が高かったし、存在感も素晴らしかったバンドでした。それは今回のアルバムでも変わらない。

でも、永遠に変わらない物など無いし、変わらないだけでは面白くはない。「猫とアレルギー」はそういった側面を大いに体現して見せた作品だったかもしれない。





 きのこ帝国を聴いていると、まるで"森田童子"が歌っていた時代の日本に帰ったかのような錯覚を覚える瞬間がある。陰鬱で虚構に満ちた世界をひたひたと歩く寂しげな歌声に、このまま身を任せたくなるのだ。

ところが今回のアルバムでは、そんな彼女等の世界が氷解し始めているように感じてしまう。「フェイクワールドワンダーランド」で絶妙な均衡具合だった陰と陽が、猫とアレルギーでかなり陽寄りになり、優しく、暖かく、柔らかな歌ばかりなのだ。

 無論歌詞にはまだ愁いが漂っているし、これまでのきのこ帝国を存分に味わえる楽曲も幾つかある。だが”You outside my window”で「阿呆くせえ」と尖っていたきのこ帝国は何処かへ行ってしまったようだ。


 これまでの流れに心底惚れていた人には若干肩透かし。ここから好きになった人にはど真ん中。アーティストにとって良いことなのか、悪いことなのか難しい話ではあるけれど、発展途上だからこその魅力と言うのも確かにあるし、それにCD音源よりライブの方が映える気もするのだ。予定が合わず諦めた対バンツアーでこそ本当の意味での真価が分かるアルバムなのかもしれない。


 




 なんだかんだと言っても、相反する想いが錯綜しているようなタイトルそのままに、諦めと憧れが綯い交ぜになった良いアルバムでした。

メジャーデビューしたからと言って、硬くなったり義務感に囚われず、形は変われど"らしい"楽曲と共に成熟して行って欲しいですね。







 きのこ帝国 OFFICIAL WEBSITE





posted by lain at 07:21北海道 ☔Comment(0)音楽

ドッグタグを警察バッジに持ち替えて「Battlefield Hardline(バトルフィールドハードライン)」EA/感想

EA
いつもなら、早々に新品で購入するところを様子見しておいて本当に良かった。年約3000円払うだけでEAのゲームを10本前後フルで遊べてしまうXbox One用のサービス”EA Access”様様です。




BFの新作である本作を、今回に限って見送ったのは、昨年辺りからFPS熱が冷めているのと、戦場ではなく警官の世界を舞台に移したことへの、一抹の不安が拭い去れなかったからかもしれません。実際、ハードラインをプレイして思ったのは「なんでこの内容に"BF"と付けたのか?」でした。

確かに言葉の意味合い的にはバトルフィールド=戦闘領域で間違いないのかもしれませんけど、ファンの頭の中では確実に戦場でドンパチをやらかす戦争ゲームというイメージがあるわけで、まさかスニーキングしながらドラッグの売人だのギャングだの汚職警官だのを相手にするゲームを想像することなんて出来ません。BFのシステムを踏襲してるからという理由以上に、BFの名前を付けた方が売れるから、CoDのように毎年市場に名前を出しておきたいから、そんな仕様もないEAの目論見が脳裏によぎります。



正直言ってゲーム的にはグダグダでした。毎回主人公は何処ぞに乗り込んで敵を皆殺しにして進んだり、片っ端から逮捕しても良いんですが、大声で犯人に声を掛けているのに、近くにいる他の敵が全然気付かない(視界の範囲に入らなければ)のもおかしいし、取り押さえられる時に犯人達が口にするセリフが単調で興ざめしてしまう。しかも主人公は無尽蔵に手錠を取り出すから空いた口が塞がら無い...

犯人達を殺さず捕らえると警官としてのランクが上がっていったり、スキャナーを使い証拠品を集めるような要素がある割に、その結果がエンディングにまったく反映されないのが、また、つまらなかった。元々ボリュームが多いわけではないけれど、キャンペーンの一周を短くし、良い警官として進むか、悪い道へと逸れて行くのか、細かな分岐を用意して重複するミッションがほとんど無いようなマルチエンディングスタイルにしてくれたら、もっと楽しめたんじゃないかと思いました。前回は一応マルチエンディングでしたが、ただ単純にどちらを生き残らせるか、という点だけが違う物でしたし、そろそろプレイヤーの選択でエンディングが変わるような物にして行かないと、本当にマルチだけが目的のゲームになって行きそうな気がしてならないです。

真面目な警官が仲間の裏切りに遭い収監され、その後の反撃までを描いたハードラインのストーリーは、個人的に結構好みで、主人公の上司が「ザ・シールド」に出ていた”ベニート・マルティネス”だったおかげで一筋縄でいかない刑事物の雰囲気を存分に味わえたからこそ、尚更もう少しなんとかならなかったのかと思ってしまいます。終盤の展開に若干無理が有ったものの、続編作れそうな終わらせ方してましたし、これ次、あるんでしょうか?.....









僕のFPS熱が冷めた理由は、ごくありふれた話が原因です。ラグのせいで撃ち合いに負けたり、執拗に僕を狙うプレイヤーに出くわしたり、逆恨みして酷い内容のメールを送って来る人が居たり、リスポーンを狙う人、這いつくばってスナイピングしかしない人、他にも書ききれないほどのストレスに嫌気がさしたのです。だから本作もマルチに一切触れていません。

一昔前のBFは、スポーティなCoDと違って、もっさりしたリアル寄りの動きが売りだったのと、敵を殺すだけでは無く回復、補給等の重要性も高かったので、初心者も入って行き易い空間だったように思うのですが、BF3から一気にスポーティなFPSに鞍替えしてしまったのが残念でなりません。

広大なフィールド。陸海空の兵器。重量感のある兵士。それらのリアリティーが遊び易さのために犠牲になったのでは本末転倒です。CoDに近づくのではなく、独自の路線を行ってこそBFなんじゃ無いかと思うBFハードラインでした。


posted by lain at 07:04北海道 ☔Comment(0)ゲーム