イケメンの汗じゃ出せない恋の味「俺物語!!」浅香守生(監督)/河原和音・アルコ(原作)/マッドハウス(制作)

 僕は生まれて此の方、女性と付き合ったことがない。


 今までに何度かチャンスはありました。中学生の頃は複数の女の子から好きだと言われたこともあったし、友人の紹介で女性と何度か会ったこともある。


 しかし、臆病で先を読み過ぎる性格が災いして、一度も女の子の告白に対しYesと言えなかったし、自分から告白する度胸も無かった。「もっと良い男がいるだろ?」「どうせ今だけの感情だ」「本当の俺を知ったら友達でもいられなくなる」と、前向きに一切考えることが出来なかったのです。実際こんなネガティブな男と付き合ったって、何一つ良い思い出にはならなかったことでしょう。せいぜい次の恋に繋げる良い教訓、踏み台程度にしか役立たなかったはず。それならいっそ失恋したり、告白などしないまま片思いで終えた方が綺麗な思い出として昇華出来るのでは?とさえ思う。



 そうしているうちに、共学を終え女性がほぼ皆無な職場に入り、友達も少ないからあっという間に気づけば人生も半ばであります。今じゃ色恋がどうのと騒ぐより自分の身体や仕事、更には家族のことで悩むことがもっぱらで、出会いを求めるのが本当に面倒になって来ました。人並みに恋をしてる連中を見ると、妬みで心の中が薄黒くぐるぐる渦巻く癖にね。


 そんな大馬鹿野郎なので、アニメの登場人物にまで嫉妬してしまうことが増えました。こいつ不幸ヅラしてるけど金持ちのボンボンじゃねーか!ほのぼの癒し系してるけどリア充だよね?結局真の負け組が表舞台で主人公張れることなんて無いんだ!!とか、無駄に落胆する日々です。


 でも、この作品のこの男だけは本気で応援してしまった。こいつが幸せになれ無い世界なんて絶対糞だ!と心から思えました.....






 男からは頼りにされてモテモテのいかつい漢”剛田 猛男”が、持ち前の熱い正義感で女の子を痴漢から助け、その女の子”大和 凛子”が猛男に一目惚れして二人は付き合いだすという絵に描いたような恋愛話なのですが、普通ならイケメンである猛男の親友"砂川 誠”に目移りしそうなところを完全にスルーして猛男を好きであり続ける大和が凄く眩しい(もしかしたら単純に見た目が好きで猛男を選んでいるだけなのかもしれないけれど)し、外見で損をして来た猛男に、大和のような可愛らしい女の子が告白するというのは、外見より中身について好きだと言わんばかりだから、その後の数々の惚気も本当に微笑ましくて、二人が何度となく「自分なんて...」と恋愛感情に振り回される度に思わず頑張れ!と、応援したくなるんです。



 男が惚れる漢な猛男。じゃあ凛子は女の子が好きになるヒロインだったのだろうか?男の僕でもこんな純朴な美少女いるわけ無いと突っ込みたくなる瞬間があったけれど、ドロドロの嫉妬の海で泳いでいる女性たちが大和のようなヒロインを好きになれるのでしょうか?砂川にしてもそれは言えるかもしれない。あんなに自分のことを差し置いて親友に付き合ってくれる心の綺麗なイケメンいるわけがない。実はお前ホモだろ!?と言いたくなる瞬間も多々ありました。僕の心が曇ってるからそう感じるというのもあるでしょうけどね。



 でもまあ、ご都合はそりゃ何処にだってあるわけで、ありえないからありえて欲しい!を叶えてくれるのが物語の魅力であり、純粋で不器用な少年少女達と他人の事でも自分の事のように一生懸命汗をかける猛男が報われるこんな世界があったら良いな!!と強く思える俺物語!!は、現実の脆さと虚構の優しさの配合がすこぶる上手いのだと思います。河原和音さんアルコさん浅香守生監督、甘酸っぱくてうっかり恋をしたくなっちゃう素敵な夢をありがとうございました.....


 

 OPも最高だが、まるで猛男のためにあるようなEDがまた良い........





 2クールで終わるのが勿体無いほどの作品でしたが、原作に追いついたからには仕方ない話であるし、おそらく編集社の狙い通りの日程でアニメが原作に追いついたのではないかと下手に勘ぐっています。何せ10月に発売される10巻にはアニメ版の最終話とその後も収録予定なので、こりゃ買わない手は無いじゃ無いですかファンからしたら......いやほんと、メディアミックスもここまで周到に計算される時代なんですねぇ。

 なんか釈然としない物がありますけど、勘違い野郎なパティシエイケメンと決着がついた続きが見れるならそれで良いですよね♡((v(=3=)v))<オレノコイナンテドウデモイイヤ♡









 俺物語!! 頼りになるラジオ!! http://www.animate.tv/radio/details.php?id=oremonogatari
posted by lain at 09:44北海道 ☔Comment(0)アニメ

心の死んだ社畜御用達あにめ?!ハイッ「がっこうぐらし!」安藤正臣(監督)/Lerche(制作)

 まだ冬も訪れて居ないけれど、卒業のシーズンであります。

 そう、夏アニメ達の....



 今シーズンはこれだ!って頭一つ飛び抜けているような作品は無かったかもしれませんが、逆に質の高い良作が多かったからそう感じるのかもしれません。珍しくアニソンにも熱くもなりましたし。

 そんな中で、卑猥で幼稚な作品を除けば、今季1位2位を争う面白い作品が「がっこうぐらし!」でした。

 学校で寝泊まりする”学園生活部”ってまた斜め上からの日常癒し系アニメが始まりやがったなぁ....と、怪訝な顔をして1話を観ていたら、まんまと最後に唖然となり、魔法をかけられたみたいに毎週楽しみにしてました。





 ネガティブに聞こえるかもしれませんが、日本人らしさが上手く機能した作品だったんじゃないかと思います。
大規模なパンデミックが起こり、理由は分からないけれど主人公達の通っていた学校が”それ”が起きたとき用の設備を備えていた為に少女達だけで立て籠もり生活が送れているというのは、普通で考えるとまず無理がありますが、今更海外のド派手な映画やドラマの真似ごとをしても二束三文で終わってしまうのが目に見えているので、あくまでもほのぼのした学園物をベースにしていたのが良かったと思います。

 その分ゾンビ作品特有の常に張り詰めて心が荒んでいる、といった描写は弱いけれど、日常系アニメ特有の大騒ぎと現実の非情さが良い対比になっていたから、終盤に近づくにつれて登場人物への思い入れや、到底幸せな未来を想像出来ないストーリーの続きが気になって仕方なくなるように設計されていて上手かったです。最終回の絶体絶命な危機の際も、感傷的な日本人らしい設定で乗り切っていて、ちょっと切なくなりました。原作者がシリーズ構成から脚本まで手掛けているから、バランスの良さを随所から感じられます。


 がっこうぐらし!のゾンビは、皆生前の記憶が何処かに残っているらしく、だから”みんな”学校に戻って来るのだと少女達が話していました。ここが他のゾンビ物と少し毛色の違うセンチメンタルを掻き立てるのだと思います。僕らは学校を卒業して社会で働くようになるわけですが、”お金”を手にする為に働いていると、色んなことに挫けて心を殺してしまわないと日々の生活すら困難になる。中には誰にも何にも気を配らず好き勝手に生きている人もいるでしょうが、ほとんどの場合望むと望まざるに関係無く、生ける屍すなわちゾンビにならないと社会では生きて行けないことが多い。そうなって来ると思い出されるのは友達と馬鹿騒ぎした学生の日々では無いでしょうか?勉強は嫌で仕方ないけど、友達とわいわいやれたあの時代は、なんだかんだ幸せな時間でしたよね.....

 だからこそ、ゾンビになっても大好きな学校へと戻って来る生徒達と、それを切なく見つめる少女達のサバイバルな日常を愛おしく感じるのでしょう。ちゃんとゾンビに意味合いを持たせている辺り、ロメロゾンビの正当な血筋に「がっこうぐらし!」はあるのかもしれません。意味深なラストが2期に繋がることを期待したいです。

 


 それにしても「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」はまだまだ頭にこびり付いて離れない.....

 はいっ!


 
posted by lain at 07:19北海道 ☔Comment(0)アニメ

『じぶんがあらわれた!』  ”たたかう” ”にげる” それとも....?「複製された男」ドゥニ・ヴィルヌーヴ(監督)/2013年/カナダ

代わり映えしない生活を送る大学の歴史講師のアダムが、同僚から勧められた映画をたまたま観てみると、そこに自分そっくりの役者が映っていた。

驚きを隠せないアダムは、その役者になんとかして会おうと奔走。しかし、出会うべきで無かった二人が出会ったことにより、彼らの運命は周囲を巻き込み狂い始める....






昔から「世界には3人そっくりな人間がいる」「自分そっくりの人間に出会ったら死の前兆である」などと言われていますし、はっきり言って『複製された男』という和製タイトルのミスリードが終盤で生きて来る映画でした。鼻っから複製された人間の出て来る映画だと考えて観ていると、本当に最後の最後で「はぁ?」ってなること請け合いですw

冒頭で主人公らしき人物が秘密クラブで女性のあられもない姿を堪能している意味深なシーンが流れた後、日常に飽き飽きしている主人公の日常が続き、自分そっくりの男を映画の中に見つけてからも、なんでそこまで狼狽するのかイマイチピンと来なくて、案外序盤は退屈な映画に感じましたし、あ然となるラストシーン以外は面白いとか怖いとか、そこまで気持ちが揺れ動くことも無い作品なんですが、フィルム全体の色合いや音楽の使い方が好みだったので最後まで観れました。

ぶっちゃけ最後まで観ないと、この映画の良さは出ないんだと思うのですが、逆に最後のシーンのせいで賛否が分かれるってのも分かる話なんです。細かい部分に注目して見直すと、なるほどそういうことかと納得出来る構成になっているらしいのですが、僕は馬鹿正直に観ていたのでラストで本当に驚き、訳が分からな過ぎて笑いが止まりませんでした。即公式HPでネタバレ・インタビュー記事をみたり、色んな方のレビューを読み、ようやく大掛かりな仕掛けを使い中年男性の苦悩を描いた映画なのだと合点がいったほど突飛なラストだったのです。確かに、長年同じ仕事を続け中年に差し掛かった僕としても、大変彼らの苦悩に共感を覚えます......





『カオスとは、未解読の秩序である』

もしかすると、察しの良い方なら冒頭で流れるこの言葉だけで、どういうことなのか理解出来たりするのかもしれませんね。

いやぁ〜ほんとに変な映画で実に良かったです(  =3=)b





posted by lain at 06:33北海道 ☔Comment(0)映画