グロい・キモい・コワい。でも目が離せ無い...「江戸川乱歩 屋根裏の散歩者」長田ノオト/秋田書店

 今季のアニメの中で一番期待しているかもしれないのが、”江戸川乱歩”没後50年の節目に作られた「乱歩奇譚 Game of Laplace」なのですが、肝心の江戸川乱歩の本は全然読んだことがありません。

 単純に今まで古典や純文学が苦手だったと言うのと、僕の中での江戸川乱歩と言うか”明智小五郎”が、いわゆる2時間TVドラマの枠で人気を博していた”天知茂”さん主演の美女シリーズのことでしか無かったのです。





 毎回グロい事件とエロチックな女性の裸体が流れるため、親からは観ちゃいけないTV番組とされていましたが、親が家にいない時間帯に再放送されていたのをこっそり観ていたものです。

 内容的にはかなり改変されているそうなんですけど、凄惨な事件と女性の色香が儚く絡み合う展開は、ちゃんと乱歩作品の特徴を活かしていたんじゃ無いでしょうか?(原作読んで無いです"2回目")




 そんな天知茂さん主演の美女シリーズが大好きだった僕の前に、漫画ならではの耽美で危うい乱歩を描く”長田ノオト”さんが現れたのは、いつのことだったろうか?.....

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 レトロで個性的な表紙と、住む世界が違う美麗な二人が交錯する裏表紙を目にしただけで『これは凄い本だ!』と直感。実際読んで見てもやっぱり凄かったわけですが、そのグロい耽美さにあの頃の僕は萎縮してしまい、一度この本は手放してしまいました。その後も何度となく怖いもの見たさで長田ノオトさんの本を書店で見掛けるたび買っては、また手放すというのを繰り返していたのも良い思い出です....

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グロいシーンは...あえて控えましょう.....ゴクリ



 そんなこんなで、今は手元にあるこの本のストーリーを簡単に説明しますと、刺激を求めるあまり女装して映画館へ行き、そこで出逢った男とちょと良いムードになったところで♂だとバレ、相手に殺されそうになったところを明智に助けられた青年が、たまたま自分の部屋から屋根裏へ上がれることを知り、同じアパートで暮らす人々の裏の顔をコッソリ愉しむようになるのですが、これがまたとんでもない住民ばかりで、青年は次第に深みへとはまって行くことになり、最後にはしっかり道を踏み外すこととなります....


 女生徒の脚を愛おしそうに舐める教師

 笑顔で実験用の豚を切り裂き隣人の少年に恋い焦がれる男

 美人の婚約者居ながら、ツギハギの美少女を愛でる小説家

 などなど、実際にこれほど次から次へと平凡とは無縁な住民が現れたら流石に不自然に感じるところですが、ストーリーの進行役である青年が読者に向けた語り口調で話しつつ物語が進むから、共犯意識を植えつけられ挙句、虚構の中に潜む生臭いリアリティにどんどん染められ、自分の中で眠らせたままにしておきたい感情がむくむくと擡げて来るから、そんな瑣末なことを気にしてる暇など全然ありません。今読んでも色んな感情が渦巻いて落ち着か無いです。本能的に自分を守ってたんでしょうね、この本を手放した頃の僕は.....




 古典的なホラー畑の作画スタイルですし、背景や小物の作画も上手いわけでは無いのですが、長田ノオトさんにしか出せない味が確かにある。もしかしたら長田さんにとってコンプレックスでしか無い味なのかもしれませんが、生理的嫌悪と好奇心を刺激する絶妙な匙加減から生まれた味わいは得難いものがあると思うのです。

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こんな装丁の本あったら凄く目を惹くと思うw








 常に満足することなく、飽くなき妄想を繰り返す”長田ノオト”さん。

 ここまで脳内であれやこれや料理出来ていたら、漫画家稼業も面白そうに思えて来ます。

 でもまあ当事者になったらなったで相当大変でしょうなぁ.....




 せっかく没後50年で盛り上がって来ているところですし、商業誌で乱歩物の新作や、今まで描いて来た乱歩物をまとめた本を出して貰いたいところですね。BL漫画もエッチで良かったですけどw

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posted by lain at 07:06北海道 ☔Comment(0)漫画