ハードボイルドというより、ソフトボイルドかもかも「暗闇・キッス・それだけで」森博嗣(著)/集英社

 僕は本を読む人間としては非常に偏っていて、更にその量も少ない。

 だから「これがハードボイルド!」と、いう定義は僕の中で一つしかありません。

 そう、亡き”打海文三”ティストです。



 具体的に打海文三さんの文の何処がハードボイルドなのか?と聞かれたら、直ぐには上手く言えないけれど、少なくとも余計なことはにしない、女子供相手でも時に冷淡になれる、格好つけたがる自分の愚かさを痛いほど理解してるような、救い難い、でも放っておけない魅力が満載な男達が主人公であるところは間違いなくハードボイルドだった思う。

 それに対して森博嗣さんだが、今回ハードボイルド作品「ゾラ・一撃・さようなら」の続編として刊行した「暗闇・キッス・それだけで」は、ハードボイルドと歌いながらもいつもの森博嗣節に収まったような気がする。




”大学在籍中にコンピュータのインタプリタを作製、休学してソフトウェア会社を創 業、1980年代にコンピュータ業界で不動の地位を築いた、IT史上の伝説的存在ウィ リアム・ベック。会長職を譲り、第一線から退いたウィリアムは現在、財団による 慈善事業に専念している。探偵兼ライターの頸城悦夫は、葉山書房の編集者兼女優 の水谷優衣から、ウィリアムの自伝を書く仕事を依頼され、日本の避暑地にある彼 の豪華な別荘に一週間、滞在することになった。そこにはウィリアムだけでなく、 その家族や知人、従業員などが滞在していた。
ところが、頸城が別荘に着いた後、思いもかけない事件が発生する。警察による 捜査が始まるが、なかなか手がかりをつかむことができない。そんな中、さらなる 悲劇が……。取材のために訪れた頸城は、ウィリアムの自伝執筆の傍ら、この不可 思議な殺人事件にも関わることになる。果たして、事件は解決できるのか。
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 何処か軽薄でマイペース、でもちょっぴり内に闇を抱えた主人公”頸城悦夫”より、スカイ・クロラの”カンナミ・ユーヒチ”の方がハードボイルドな奴に思えて来る。

 基本的に視野が狭いのがハードボイルド作品の主人公な気がします。コレしか生き方が無いと、別の選択肢に気づか無いのか気付きたく無いのか、一つだけ譲れ無い物の為に命を懸けようとするような男のことです。悦夫は残念ながら、かなり柔軟な男。これは森博嗣さん自身がそういう方だからと言うのが大きいのかもしれない。

 ただ、これはこれでハードボイルドなのかもしれないと思わなくもない。主人公の性格だけではなく、ストーリーの全体像を見るとぼんやりとそう思えて来ます。僕が知らないだけで、色んなハードボイルドが世の中にはあるでしょうしね。あまり「これだ」と決めてかかって本書を手に取らなければ、十分に森博嗣ワールドを楽しめる内容だと思います。




 兎に角今回の続編は間が開き過ぎたのが痛かった気がします。

 前作が7年前じゃ、ストーリーどころか登場人物でさえうろ覚えです。

 次はもっと早く出してくれるそうなので期待していましょう( =3=)v


暗闇キッス(*//ω//)




posted by lain at 06:31北海道 ☔小説