思い出の〜じゃないよ(´・Д・)」「マーニー(原題 Marnie)」アルフレッド・ヒッチコック/1964年/米国

「思い出のマーニー」とは、1967年に”ジョーン・G・ロビンソン”さんが書いた小説で、ジブリがアニメ化したことで僕を含めた大勢の新規ファンを獲得した作品ですが、そこから遡ること6年前にウィンストン・グレアムさんが「マーニー(原題 Marnie)」と言う本を書いている。

 別段その二つの作品に脈絡があるわけでも無いのですが、グリアムさんの方のマーニーをヒッチコックが映画化した作品を観ていたら、何故か似ているところがあるような気になってしまいました。




 盗癖のある女”マーニー”は、名を変え、髪の色を変え、あちこちの会社に事務員として入り込んでは金を盗んでいたのだが、とうとうとある男にバレてしまう。

 彼女を雇った張本人でもあるその男”マーク・ラトランド”は、事もあろうに警察に行くか僕と結婚するかの二つに一つだとマーニーに言い放つ。どうやら盗癖のある女だと分かっていながら雇っていたらしいのだ。

 不本意ながらも選択肢が無いマーニー。救い難い恋に身をやつしたマーク。二人の奇妙な生活が始まる....

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※個人的にはマーニーよりマークの亡き妻の妹役”ダイアン・ベイカー”(左)が好きじゃ♡




 マーニーは盗癖だけではなく、男性が苦手であったり「赤」色に異常な反応を示すなど、非常に扱い難い女性なわけだが、そんなマーニーに根気良く付き合うマーク(ショーン・コネリー)が格好良い。作中マーニーにフロイドの真似事をしていると、責められた時でさえ飄々としている。

 物語は、そんな二人のギクシャクした関係と共にマーニーの子ども時代に何があったのか?と言うのをチラつかせつつ進行してゆくわけですが、正直序盤で展開は見えてしまう。

 後期のヒッチコック作品だからなのか?当時の観客は真相に意外性を感じたのか?はっきり言ってあの頃の映画やヒッチコックについてそこまで詳しく無いから分から無いのですが、それほど驚きも恐怖も感じなかったように思います。まあ、マーニーの心理描写はそれなりに面白かったし、トラウマに苦しむ人の物語は好きなのでそれなりに観れる映画ではありました。



 二人のマーニーに共通した面があると言うよりは、マーニーとアンナの方が近い存在かもしれない。過去の記憶が曖昧だったり、心を閉ざしていたり、雁字搦めになった心の解放までを描いた内容である点でも、二つのマーニーは重なるものがあるような気がします。片や児童文学、片やサスペンスという立場ではありますが、僕のようにタイトルに惹かれてうっかり観てしまうのも良いかもしれません。




 ただやっぱり、マーニーの素顔が明らかになるまでの冒頭6分間が最高潮の作品だったかもしれないなぁ......(´Д` )





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posted by lain at 07:07北海道 ☔Comment(0)映画

ぼくは、どらえもんより、べいまっくすといたいです“φ(🔴︎ー🔴︎ )「ベイマックス」2014年/アメリカ

 僕は「大ヒット」という言葉に踊らされるのが嫌いだ。

 多くの場合、肝心のコンテンツが煽り文句以上では無く以下な出来栄えであるし、売れている=良い物と言う発想事態が気に入らない。


 ”2ちゃんねる”のようなマニアックな掲示板から、TwitterのようなSNSが全盛の時代に入り、様々な人と情報を共有し易くなり、何が『今』人気なのかも意識せずとも目に飛び込んで来るようになってから、尚更懐疑心が強くなりました。無論まったく試しもしないで良し悪しを判断するのは愚か者のすることだから、周囲の熱が冷めた頃合いを見計らって、こっそり試していたりする。



 試した結果は大概経験則から導き出した想定の範囲に収まって”やっぱりそうか”で終わるものの、時として自分の目測を飛び越えた武器を携えたモンスターもいる。ベイマックスはまさにそれだった。




 ガンダムは「白い悪魔」と呼称され、恐怖の対象とされていたりしたけれど、ベイマックスは「白い天使」と呼ぶべき存在でした。表情に乏しい顔。メタボ真っしぐらな体型。融通の利かないAI。はっきり言ってポンコツな気がしてならないのだが、兄の死で心を閉ざしてしまった少年にとっては、同情した表情で妙に気を回して来る保護者や知人より接し易かったに違いない。相手がどんな心無い言葉を吐き出していても、身体の調子から精神状態を理解し、勝手にケアしようとするベイマックスの愚直な行動一つ一つが少年の心を解きほぐしてゆくのが本当に良い。

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 感動的なドラマを支える上で、アメリカの風景とロボット好きな日本の風景が合わさった美術の作り込みや、主人公の少年と悪者を退治することになるキャラクター達の造形のリアルさは重要な要素。相変わらずディズニーの技術力の高さを感じました。ちょっと動かし方にマンネリを感じないでも無いですが、バジェットや人材の問題でまず日本では成立しない映像の数々には嫉妬を隠せません。

 あまりディズニーの人間のモデリングはデザイン的に怖いから苦手ですが、ベイマックスのような造形センスは凄く好き。「WALL-E」に次いで好きなディズニーアニメになりそうな気がします。

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※それでなくとも強烈な登場人物の中で、一番の破壊力だったハニー・レモン。でも実はお気に入りのキャラであるw

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※なんちゃって日本文化が入っているのも、日本のロボットへの関心の高さなのか?それともジブリ大好きなジョン・ラセターが日本贔屓だからか? 




 かなり周りの評判では「泣ける映画」という印象でしたが、僕にとっては優しく笑える映画でした。何処まで理解して行動しているのか分からないベイマックスの感じに程よく癒されました。

 大抵のことは叶えてくれるネコ型ロボットより、肝心な時ただひたすら寄り添ってくれる白い天使の方が側に置いておきたい存在かもしれません。


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ベイマックスもう大丈夫だよ






posted by lain at 07:05北海道 ☔Comment(0)アニメ

初恋の魔法はそうそう解けはしない....「ロードス島戦記 灰色の魔女 1巻」たくま朋正/水野良

自分の干支が何度かぐるぐる回り、いつの間にか自分の誕生日なんて祝えなくなった僕は、兎に角素直に物事を受け入れられないようになりました。

例えば、テレビに撮られている所で誰かが流す涙や、貴方達の為だと押し付けて来るルールであるとか、どちらもそれらしい体裁は整っているが、信じたい嘘に縋っているに過ぎない無いように思えてならない。前者はカメラという視線の先を意識した上で湧き出したナルシシズム、後者は「責任」と言う重荷を下ろす為に自然と働いた自己防衛的方便の産物でしか無いと感じてしまうのです。

そんな僕だから、たくま朋正さんが描くロードス島戦記など素直に読めるわけも無かったのだ...

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水野良さんが2013年に作家デビュー25周年を迎えたと言うことで、そのお祝いの一環として本作も連載が始まったらしいのですが、OVA版でロードスにハマった身としては、あまりにもキャラのイメージが違うので辛いです。

ディードリットの高飛車っぷりは嫌いでは無いけれど、どうにも男性陣に深みを感じ無い。年配のスレインやギムの顔に人生の年輪をそれほど感じ無いし何よりパーンが酷い。OVA版のパーンが血気盛んで勇猛な青年であったなら、たくま版パーンはわんぱくで幼稚で単細胞である。こんな男を、あのディードリットが気に入るだろうか?......

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ロードス島戦記のサーガは今までに何度となくコミックになったものの、山田章博さんの「ファリスの聖女」が最高峰で間違いない。せめて結城信輝さん級の絵力がある方が今回のコミカライズをやって欲しかった。ファリスの聖女を知っているのに、今回のロードスを平気で楽しむ気にはなりません。

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楽しめないなら無理して楽しもうとしなくて良いんじゃない?

そう思わなくも無いのだけど、昔の僕ならきっと楽しめただろうと思えてしまって寂しくなります。”たくま朋正”さんの他の漫画は好きでしたしね。なかなか事実を受け入れるのは難しいものです。


心底同じような物を愛し続けることが出来る人がある意味羨ましい。

きっと受け取る時の変換の仕方が違うのでしょうね。作品が内包するメッセージ以上の何かを添付して吸収し、更にイメージを膨らませる力に富んでいる人だから同じ物を愛せるに違いない。


自分の想像力の乏しさを棚に上げ、送り手へ自分に合わせろと文句を言っても仕方の無いこと。

これからも固定概念にカッチカチに凝り固まって行くのは止められ無いかもしれないかもしれないけれど、なんとか自分の求める物を探索し続けて行きたいものです。




もしも何処にも自分が求める物が無くなったら、その時は自分で自分の望む世界を作ってみたらどうだ?俺よ....
posted by lain at 07:21北海道 ☔Comment(0)漫画