イメージを形にする職業に惚れてしまうでしょ?こんなの見せられたら?「ユリ熊嵐」幾原邦彦(監督)

 男同士でもある事だけど、若い女性ほど抜け駆けした者を許さない傾向にあるように思う。

 「私は我慢してるのに」

 家庭で頑張る奥さんも、会社で意地はるOLも、女子校のような特殊なコミュニティで過ごす女の子達だって、こんな風に感情を昂ぶらせたことがあることでしょう。ましてやそれが性的な事他人の幸福であれば、尚更理性が何処かに吹き飛び恨みつらみが行動に出てしまいがちです。



 人間は何故か周りと同じような行動を取らないと落ち着かない生き物。クラスの友達が「ポ◯モン」を遊んでいたら、仲間ハズレにならないようにポ◯モンを遊びたくなるし、直ぐに忘れ去られる芸能人だらけのテレビだって、話題が合わなくなるのを恐れて見てしまう。しかし、よくよく考えると、自分が他の人と違う物に目を向ける人間であって、なんの不都合があるのか? もしかしたら、あるがままの自分を手に入れて、人生で一番幸せになれるチャンスを棒にふっているかもしれないのに。


 アレハイケマセン

 コレハイケマセン

 コレヲタベナサイ

 アレヲタベナサイ


 そうやって幼い頃に刻まれた物が「罪悪感」や「疎外感」への引き金となって、本当の自分を愛す邪魔をする。そんな風に思ったことは無いだろうか?

 ユリ熊嵐は、そうした刷り込みの呪縛に勇気<好き>を持って立ち向かった少女達の物語だったように感じました。



IMG_7123.JPGIMG_7124.JPG
相思相愛な二人。別れはあっという間である....
IMG_7116.JPG
それと時を同じくして現れる怪しすぎる転校生が
IMG_7113.JPG
やっぱり熊で可愛すぎる
IMG_7129.JPG
IMG_7130.JPG
IMG_7126.JPG




 断絶の壁と呼ばれる物で人間と熊を隔てているという本作の世界観では、人間社会に女性しか居ないし、主人公が通う学園と自宅と花壇ばかりのピンポントな空間しか描かれず、相対する人間の天敵熊の世界にしても、何処がどうなっているのか、おとぎ話のように語られるばかりで全貌が見えて来ないから本当にワケが分からないアニメなのだけど、許されない望みに身を焦がす人と獣の切実な想いが僕の中に無理なくするりと入り込んで来るのが面白い作品でした。

IMG_7127.JPG
どうやらこの熊の娘と
IMG_7108.JPG
IMG_7110.JPG
主人公は友達だったと分かって来る




 「透明な嵐」「好きを諦めない」「約束のキス」「ユリ承認」など、厨二病だと一言で片付けるのはちょっと乱暴に思える詩的な表現のキャッチーさや、キャラの可愛さと肉感の見せ方も上手く、女の子達の真っ直ぐな好きを前に男女共に楽しめる内容になっていた気がします。不確定なところに振り回されることを楽しんだり、ここ!と決めてハマっていた人も多いことだろう。10人観たら10人とも1番好きな部分が違ったりするかもしれない。イクニアニメのそこがセクシーシャバダドゥ♡

IMG_7122.JPG

IMG_7119.JPG
IMG_7121.JPG
IMG_7120.JPG
いつもは人間の姿でユリの承認を行う♂のクマ達





 詩的にぼかしているところはあっても、筋道は実はしっかりしていてドラマ性を高める演出のまとまりもすこぶる良い。方向性が定まらず序盤バタバタしていた「輪るピングドラム」よりもしかしたら好きかもしれません。どちらも可愛くディフォルメした記号を持ち、別次元と思われる場所の階段を降りると決め台詞が待っているという似たような趣向のアニメでしたから、是非とも階段落ち三部作(勝手に命名)として、もう一作半端じゃなく純愛なヤツをぶちかまして欲しいですね。

IMG_7111.JPG
そしてまた始まる祝福されぬ絆が....



 深い意味が有りそうで無さそうなのにトータルで伝わって来る「何か」がある幾原邦彦監督作品。次回作がいつかは分からないけれど、次も絶対観ます。

 それにしても、好きは1人じゃ叶わない夢・幻だから愛おしいものですね....





 ( ≡ 3 ≡)。o 0(そのうちイクニアニメのキャラでコラボ作品とかどーですイク兄さん?

IMG_7128.JPG













 関連過去記事

posted by lain at 13:54北海道 ☔Comment(0)アニメ

まだ生まれ出ぬ貴方の誕生日「銀河英雄伝説 第三章 内乱」河村隆一、間宮祥太朗(主演)

今から1552年後の4月4日に誕生する予定の紅茶好き(ブランデーはたっぷり)寝癖男子ヤン・ウェンリー。

いまだに地球単位での平和もままならないのに、いつか銀河を二分する戦争を終わらせる立役者として、彼のような人物が必要とされる時が来るのでしょうかね?




銀河英雄伝説は、尋常ならざる数の登場人物が有能さと愚かさを遺憾なく発揮して物語を盛り上げてくれる群像劇として本当に素晴らしかった。特に主役であるラインハルトとヤンの対照的な生き方には色々と考えさせられました。

甲斐性無しの名ばかり貴族である父のせいで姉を皇帝に奪われ、姉を取り戻す為に銀河帝国を打倒すると決めた最強のシスコン男ラインハルト。彼の野心の大きさや非凡さと反比例して幼な過ぎる心が悲劇を呼び込み、半身をもがれ自己嫌悪の海に沈んで行くのを見ているのは実に辛かったなぁ。そしてある意味、ラインハルトが頭角を現わしたことで、表舞台へと出ざるえなかったというのがヤン・ウェンリーでしたよね。




「軍隊というのは道具に過ぎない。それもない方がいい道具だ」

天才的な戦術家でありながら、自己否定の発言を繰り返す矛盾の塊なヤン・ウェンリー。歴史家を志望していた彼の意に反した才能に死ぬまで苦しめられることになる彼の理想に殉じた生き方は、社会の有り様に疑問を感じモヤモヤしていた学生時代の僕の心の隙間を埋めてくれたものです。

好き勝手に力でのし上がるラインハルトに対し、あくまでも文民統制を貫き通すヤン。君主制と民主主義の良いところ悪いところを代弁してくれている二人には多くを教えられました。骨太なSFであり、壮大な歴史絵巻であり、当然ヒューマンドラマとしても見応えたっぷりな銀英伝ですが、特にヤン提督の教えには大勢が感化されたに違いない。





今回せっかく彼の誕生日であると言うことで、舞台版の第三章 "内乱" を見たのですが、何度見ても河村隆一の成り切り具合が良いんですよね。熱心なファンであることを公言しているだけあって、自分の中でのヤン・ウェンリーが出来上がっている感じが伝わって来ます。河村隆一の名前を見ただけでアレルギー反応を見せている銀英伝ファンも、一度で良いから舞台版を見て頂きたい。納得のヤン・ウェンリーがそこに居ますw

IMG_7103.JPG



ただちょっと帝国側の人事が怪しかったですね。1章からキャストが入れ替わったラインハルトや、少し幼な過ぎるように思うキルヒアイス、そしてクールなイメージが壊れてビッテンフェルトかと思ったロイエンタール(内浦純一)もあれ?っと、ほんの少し思いました(アイゼナッハとアンネローゼさんは良かったなぁ....)

IMG_7102.JPG
「姉上はキルヒアイスを愛していらしたのですか?」という問いに見せた表情。舞台だから観客からほとんど見えないというのにこの演技っぷり。流石の貫禄を感じました”白羽ゆり”さん....





逆に同盟側は面白いようにハマってる役が多くて良かったです。シェーンコップ役の”岩永洋昭”、オリビエ・ポプラン役"中川晃教"、イワン・コーネフ役”中村誠治郎”の三人が良いタイミングで寸劇を見せてくれるのなんて最高に笑えました。

IMG_7100.JPG
まさかのシェーンコップがこの顔w
IMG_7101.JPG
中川ポプラン突っ込まれ方が可愛いw





帝国同盟合わせて原作並みに登場人物が入り乱れていたのも豪華でしたし、複雑化して来た舞台セットや宇宙艦隊のCGを映すなどの演出も含め、どんどん拘りが増している舞台版銀英伝。

ひとまず大規模な公演は4章で終わった(なにやら脚本が不評らしい4章)と聞いていたものの、6月に特別公演があると聞いて、まだまだ銀河英雄伝説は続いて行くのだなと思いました。原作は読むの面倒だし、OVAは話数が多過ぎて嫌だと言う人は、舞台で銀英伝の片鱗に触れるのも良いかもしれませんね。



それにしても内乱パートはどちらの陣営も辛い話でしたね....グリーンヒルさん.....キルヒアイス.......








舞台 銀河英雄伝説 http://www.gineiden.jp

足掛け27年の風が、ようやく止んだ....「タイタニア5<凄風篇>」田中芳樹(著)/講談社

 またも季節の変わり目に風邪をひきました。

 若い頃は何がなんでも仕事へ行ったので、僕が風邪で休むと「お前でも休むことがあるんだな」と良く言われていたものですが、今は少し熱が出ると素直に休みます。いくらエイプリルフールだからって、冗談で風邪ひいたとか言いませんしね(゚o゚;;


 結局昨日は背中が痛くなるほど、ほとんど寝て過ごしたわけですが、食後に70頁ほど残っていたタイタニアの最終巻を読み切るくらいの余力はあったようです。


 まあ、ほぼ波乱らしい波乱もなく、ほぼ予測の範囲内でファンが狂気狂喜もしない無難な終焉でした。生き残るべき人が生き残り、死ぬしか道が残されていない人は絶命しました。銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーラインハルトのような絶対的な存在が居ない分、ある意味では中途半端な作品ではありましたが、大きな体制の抱える問題点と、それが瓦解した時、人々はいかに無力であるかと言う点については”田中芳樹”節が冴え渡っていたように思います。

 ”あとがき”がまたらしくて良かった。まるで負けてるのに勝っていると言い続けていた旧日本軍のように、過剰に今の日本を華美した書籍が並ぶ平台や、歴史を軽視した方針を打ち出し、過ちを繰り返す土壌を作ろうとしている国に怒り心頭といったご様子でした。



 田中芳樹さんの作品は、薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズの途中からほとんど読まなくなっていました。理由は単純、田中芳樹さんのそういう愚痴っぽさが少々胃にもたれるようになって来たからです。

 言ってることはもっともだし、大いに頷く面も多々有るわけなんですが、流石に近年の作品は酷すぎました。田中芳樹作品にはよく「人徳の差だな」というような軽口が見られますが、はたしてここまでファンがタイタニアの完成を待ってくれていたのも、人徳のなせる技だったのか?と、首をひねる想いです。あとほんの少しだけ、娯楽性とのバランスを考えて皮肉を織り交ぜて欲しいところ。




 亡き石黒昇さんが監督を務めたアニメ版のおかげで完結までのモチベーションを上げてゆけたと言う田中芳樹さん。

 是非この春から放送を開始する荒川弘版アルスラーン戦記のアニメを観ながら、原作を一歩でも早く完結に結びつけて欲しいものです( ´Д`)


IMG_7098.JPG
posted by lain at 20:22北海道 ☔Comment(0)小説