美味しい物食べて、良い仕事をしたい「大統領の料理人」クリスチャン・ヴァンサン(監督)/2012年/フランス

仕事=貰ったお金の分だけ雇用主の言うことを聞く事

じゃ、ないと思う。というか、そうであって欲しくない...


僕らが生きてゆくためには色んな物が必要となります。水、食べ物、衣類、出来れば家も必要だ。ついでに愛も付いてくれば言う事ナシではあるけれど、愛は前向きな勘違いを前提としているから、この際そっとしておこう。

そうした生きるのに必要な物を揃えようと考えた時、絶対と言って良いほど必要となるのがお金であります。既製品を手に取るのではなく、全て自給自足しようと考えたとしても、1銭も使わずに済む可能性はほぼゼロです。今じゃ完全にお金に僕らは支配されていると言えるでしょう。ある意味、資本主義へNo!を叩きつける苛烈な連中の気持ちも分からないでもない...


だから結局お金を手にするため朝から晩まで(晩から朝)仕事をする。たとえ嫌な目にあったり失敗してウンザリしたり自己嫌悪に陥ってもお金の為にと辞められない。
しかし、そんな義務的な仕事と上手く向き合えて、働くのも悪くないと思える瞬間もなくはない。自分が考えた通りに仕事が仕上がった時の充足感はお金に換え難いものがありますよね?お客さんが笑顔で応えてくれたらまた頑張ろうと思えてしまいますよね?


だから、自分の料理を美味しいと認めてくれる大統領の為に、料理人としての術を全て出し尽くそうとしていた女性料理人”オルタンス・ラボリ”が、つまらない横槍に倒れてゆく姿が他人事に思えなかった。





 気取った料理ではなく”おふくろの味”が食べたいという大統領の意向で白羽の矢が立った女性料理人”オルタンス・ラボリ”は、突然のことに戸惑いつつも、自分の作った料理をぺろりと食べた大統領を気に入り、次から次へと手間暇と心を込めた料理を楽しげに作る。

 しかし、官邸の料理場と言えば男社会の塊だったフランスで、初めての女性料理人への風当たりは強く、しかも大統領専属だから愛人とまで噂されてしまうオルタンス。それでも、公務を忘れて自分と料理について話をしてくれる大統領の為、めげずに仕事に打ち込むのだが、大統領の健康が悪化し始めた時から更に彼女の置かれた状況が悪くなってゆく....

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見るからに美味しそうな料理の数々が目に毒なこの作品を見ていると、職人気質な人が生き難い世の中を象徴した内容だなって思いました。素晴らしい物をいくら作っても、それに見合うお金を払う気が無いという世の中の実状が痛いほど伝わって来ます。これは職人以外の人間のセンスや甲斐性の問題が大きい話ですよね。

確かに職人は放っておくと予算配分なんて関係なく凝り出し、バランスを取る立場の人たちが迷惑をするのも分かります。やはりビジネスであるわけですから。


でもやっぱり料理の内容も良く理解していない人間がカロリー制限や予算の問題で彼女を責め立てている様子を見ていると、現場を知らずに言いたい放題で無理難題を押し付けて来る管理部門にイライラしてばかりいる自分を重ねてしまって落ち着きませんでした。何故ここまで現場を知らない人間が管理職につく世の中になってしまったのでしょうね.........




全てに嫌気がさした彼女は大統領の料理人であることを辞めたあと、僻地で自分の料理を嬉しそうに頬張る連中のために腕を振るっていました。

出来ることなら、僕らもお金に換算出来無いやり甲斐に満ちた、少しでも自分の仕事っぷりを認めてくれる場所へ辿り着きたいものですね。

( ≡ 3 ≡).。oO (まず無理だろうけど.....




posted by lain at 07:18北海道 ☔Comment(0)映画