端から見る翻弄話は何故にこんなに面白いのか「芙蓉千里」梶原にき(漫画)須賀しのぶ(原作)

子供の頃からそうなのだけど、欲しいけれど今は買えない(買わない)物をリスト化する癖があります。

執念深いというか、未練がましいというか、今はダメでもいつかは手に入れたいという執着心が我ながら強い。



"須賀しのぶ"さんの「芙蓉千里」も、そんないつか読みたい小説としてリストに追加したまま長らく埋もれさせていた作品でしたので、”梶原にき”さんによるコミカライズは千載一遇、渡りに船でありました。

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ロシアと日本に翻弄された土地であるハルビンに、女郎として売られて来た少女と、それに勝手について来た女郎に向かなそうな女の子。二人は女郎屋で下働をしながら、故郷から離れ女郎として生きる姉様達の苦労をまざまざと見せつけられながらも、互いを思いやる強い気持ちで逆境をはね除け大人の女となってゆくというお話になるのですが、主人公っぽい勝手に女郎屋に付いて来た女の子が、謎めいた足長イケメンとお知り合いになったり、時代が大きく動く瞬間に立ち会ってしまったりと、政治色とラブロマンスを上手くドラマに繋げているのがベタで面白かったです。

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ピンチに登場という王道の出逢いであります
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二人共幸せになってもらいたい....



身体を売らざる得ない女性達の今と、男達が手の上で転がす絵空事の未来との温度差みたいな物も感じられる良い作品だと思いました。この先もコミカライズがあると嬉しいのですが、駄目ならいつになるか分からないけど原作の続きを読みたいです。

少女たちの掛け替えのない友情と、歳の離れたイケメンとの恋と、どちらの行方も一波乱有りそうで大いに気になります。
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良い顔つきになってゆく少女達




にしても、好きが増えるたび守れない約束も増えている自分が情けないな.....

減らないリストを管理するのも一苦労だよ(;*´艸`)







posted by lain at 07:20北海道 ☔Comment(0)漫画

腐れは続くよ何処までも〜「咲くは江戸にもその素質 1巻」沙嶋カタナ/ビーズログコミックス

婦女子ではなく腐女子の台頭が著しい昨今ですが、一体いつの時代から女子は腐れた妄想に取り憑かれていたのでしょう?女性が書いた古い文献や小説に詳しい人であれば、そんなどうでも良い疑問に答えてくれるだろうか?...




刊行から200年が経つというのに、未だ腐れた二次創作の波が止まらない南総里見八犬伝を、当時の女子はどう受け取っていたのかが紐解ける(?)凄い漫画がビーズログコミックスから出た。

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封入されているチラシやイラストカードも可愛い♡




ビーズログというと、普通の男子は近寄るのを躊躇うBLブランドではありますが、この漫画は普通の女子がいかに腐れに目覚め、腐女子としてどう発展してゆくのかを、江戸時代と言う設定を活かし面白おかしく時折切実な葛藤まで放り込んで描いているのが面白かった。

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男の子同士の喧嘩を目にする主人公
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確信に変わる瞬間であった....

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そういう世界があることを知り始め
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ついうっかり友達に自分の腐れた想いをバラしてしまう...ゴクリ





別に♂と♂が生々しくせめぎ合うような露骨なシーンは描かれないし、正直イケナイ妄想に興じる腐女子の表情が艶っぽくて実に可愛い。要するに男同士に萌える腐女子に萌える漫画であります。

きっと八犬伝好きの腐女子は大いに共感する内容であるだろうし、物が物ではあっても目を輝かせて夢中になっている女子を微笑ましく見れる本でもあるので、男性読者も安心して手に取ってもらいたい(≡ヮ≡*).o0(そんなこと言っても読まないよね....



この本を読んでも一向に腐れの起源なんて分かりやしないけれど、もしも本当に江戸時代に腐れた想いに取り憑かれた女性がいたら、どんなに肩身の狭い想いをしていたことでしょうね?陰間だの衆道だのと、男色の歴史も古くからあるのだし、本当に江戸時代に腐女子居そうではありますけど。

しかし何故にここまで腐れに惹かれてしまう人達がいるのか?いよいよ誰かが論文にでもまとめるべき時期が来ていそうな気がしなくも無いよーな、どうでも良いよーな......w




沙嶋カタナTwitterhttps://twitter.com/sajima_ka

posted by lain at 07:24北海道 ☔Comment(0)漫画

ただただため息が出る美しい残酷さだ...「ラギッド・ガール 廃園の天使Ⅱ」飛 浩隆(著)/ハヤカワ文庫

 昔から僕は宗教が嫌いだ。

 ありがたい御言葉を守って楽になるくらいなら、カウンセラーにお金を払って無駄話でもした方がマシだと思うくらいに。なんというか、自分の意志を感じない信仰は不愉快なんですよね。言われる通りにしていれば良いんだという感覚で生きていたく無いんです。これは勉強でも仕事でもそうです。

 たとえば周囲の忠告に従い、その結果失敗したとする。でも、この時自分の意志で決めたと言う確たる想いが無ければ、忠告して来た相手へ憎しみを向けたくなりませんか?そういう貧しくて惨めな心に付け入るのが宗教なのです。自分たちが必要とされない世の中の方が良いのだと、本気で公言している非営利団体でも無い限り、この地上から消えていただきたいとさえ思っています。でもまあ、そんなこと言っても周りに迷惑かけなきゃ個人の自由ですよね宗教は。どうせ僕の宗教嫌いというのもある種の信仰ですし。



 宗教の話をすると、どんどん話がズレてしまいますが、文化と言うものも一種の宗教であります。歌でも映像でも文字でも、作り手の意志や想いが反映されているものだから、受け手は少なからず人格形成に影響を受けます。なかには大好きな作品や作り手を馬鹿にされたら本気で腹を立てる人も多い。そういう人達を挑発するように信者と呼ぶのもあながち間違った表現では無いのかもしれない。

 僕は信者と呼ばれたく無いし呼びたくも無いが、飛浩隆さんほどのSF作家が相手であれば信者と呼ばれることも享受出来るというものだ。




 飛浩隆さんの代表作である「廃園の天使」シリーズは、いわゆる仮想空間物。人間が自分に似せた情報体を仮想空間へ送り込み、その情報体が得たデータを人間が後で楽しむというサービスが存在する世界観を描いた物語で、一作目の「グラン・ヴァカンス」では、仮想空間に住むAI達の目線という限られた状況で進行するのが実に面白く、今回読み終わった「ラギッド・ガール」では、AI目線で謎だったことが次々と明らかになり、グラン・ヴァカンスの主要人物のサイドストーリーなどもあって、より世界観に深く入り込めました。

 むろんSF小説だから専門用語がこれでもかと詰め込められていて、頭がパンクしそうになるのですが、飛さんのSF造語<情報的似姿・官能素空間・数値海岸>はハイセンスで艶かしいですし、屈折した欲望のままに現実も仮想も関係無く邁進する人間の恐ろしさや、ただの数値でしか無いはずのAIや仮想空間を生々しく感じる独創的な表現力に引っ張られてついつい読んでしまいます。



 飛浩隆さんの書く物語というか世界は、実に残酷で美しく官能的。現実と仮想の境界が揺らぐ世界の中で、グロテクスなまでの渇望が渦巻く様は恐ろしく混沌で儚い。僕らが無意識に蓋をしている救いようのない願望の正体を、物語を通じてこれでもかと突きつけて来る飛さんは、ドSの皮を被ったドMに違いない。

 僕はSF小説を多少なりにも読むようになったのは最近のことだし、読んだ数もたかが知れている。もしかしたらこの先もっと凄いSFに出逢う可能性も大いにあるけれど、あえて言いたい。この手の方向性の作品で飛浩隆さんを超える作家はまずいないだろうと。



 人と人ならざる者の屈折した愛憎こそが真髄である飛浩隆作品が教典の宗教になら、持論を曲げて入信も止むを得ないですね(´・ω・`)<そろそろ次が出るかも....


posted by lain at 07:11北海道 ☔Comment(0)小説