何処にかぶり付けば良いか戸惑っているうちに眠くなる映画だ....「ニューローズホテル-NEWROSE HOTEL-」アベル・フェラーラ(監督)/ウィリアム・ギブソン(原作)/1998年

 死んでゆく者もあれば、生まれ出ずる者もいて、今この瞬間も世界は生き死にを繰り返している。



 そんな今日はなんと言っても坂本龍一氏の誕生日だ。

 63度目の生まれた日である。


 なんでも、この誕生日に合わせて2005〜2014年までの未収録曲を集めたコンピレーションアルバム「Year Book:2005-2014」を出したそうだ。

 親交があるのかどうなのか知らないけれど、相対性理論との楽曲もある。まだまだ音楽に対し貪欲なお人ですね♪




 坂本龍一氏と言えば、今でこそ音楽一筋に見える人ですが、バラエティにも出ていたし、映画にも何度か出演しています。

 正直演技は上手いとは言えない。ご自身もそれを認めています。

 しかし、真顔で仏頂面した坂本氏はセリフを吐かねば結構存在感はありました。「ラストエンペラー」でも「戦場のメリークリスマス」でも、軍服姿が実に様になる男なんです。


 役者としての坂本龍一が最後に(三本しか出演してないけどw)出演した「ニューローズホテル-NEWROSE HOTEL-」でもその仏頂面は健在でした。一体何が不満なのか分からず、こちらが脂汗をかいてしまいそうな雰囲気がプンプンしますw

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 『近未来。東京の裏寂れた"ニューローズ・ホテル"に身を潜めるX(ウィリアム・デフォー)は命を狙われている。彼は相棒のフォックス(クリストファー・ウォーケン)や謎の美女サンディー(アーシア・アルジェント)らと組んで、日本のバイオテクノロジーの天才科学者・ヒロシ(天野嘉孝)をヘッドハンティングし、日本に本拠地を置く多国籍企業ホサカに売り込む計画を持っていた。強引とも言える駆け引きは成功したかに見えたが、思わぬ展開が待ち受けていた。孤独と恐怖の中で銃を握りしめたXはサンディーへの思いを募らせる。.......』

by公式サイト



 原作の世界観や設定はサイバーパンクな内容なのに、実際に出来上がった映画は実に古典的な任侠物。

 企業と言うヤクザな連中を相手取り、大金をせしめようとしたものの、色香に目が眩んだウィリアム・デフォー演じるXがしくじって、命辛々逃げ出してホテルに引き篭もりナヨナヨと後悔し続ける映画でした。

 お金が無かったせいなんでしょうけど、まるでSF感を味わえない絵作りが残念過ぎました。近未来的な小道具なんて、せいぜいXが持ち歩いていたしょぼい端末くらいのものです。


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※きょうびスマホの方がよほど未来的に見えるw


 男共を手玉に取る女を演じるアーシア・アルジェントの艶っぽさや手玉に取られる男だったデフォーの演技はなかなかのものだし、クリストファー・ウォーケンに至っては怪演とも言える内容だったので、この有様と言うのは無いですね....

 自分が見逃して来たサンディーの怪しい行動の一つ一つをXが回想するシーンも無駄に長かったし、役者同士が絡むシーンが実に少ない。何故か出演してる天野喜孝さん(国内外の映画で唯一の出演作では無いだろうか?)が扮する科学者をヘッドハンティングするという内容なのに、主要メンバー三人の誰とも絡まずセリフ一つ無いなんておかしいでしょw ほとんど何処かの部屋の中で撮影して済ませているし、アクション要素もロケもほぼ皆無だなんて寂しすぎる....



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※色っぽいおねぇさん達

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※ガン見のクリストファー・ウォーケン

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※こわ〜い顔した坂本龍一に法外なギャランティーを飲ませた直後のこのおどけ方には最高に吹いたw




 冒頭ではスタッフ名と共に意味不明な日本語が流れるし、尺が短いのにお姉さんとイチャコラするシーンが多いのにも、なんだかなぁ〜という感じ。

 これで役者としての坂本氏が終わるのはなんか残念にもほどがありますね。

 せめていつもの音楽に入り込んでる姿をそのまま活かしたような役と劇中音楽のオファーでも誰かくれれば良いのに...


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※イカエチツ?クウキヌカ?....





 少し前に癌を抱えていることを公言した坂本龍一さん。

 こう言ってはなんだが、こういう状況にあるときこそ創作活動に深みが増すような気もするし、もしも癌を克服しても平均寿命80歳の日本人男性に残された時間はあっという間に過ぎてしまうものですから、壮健なうちは音楽家としての魂を燃やし尽くして頂きたいものです。


 いつかまた、娘さんとアルバムの1つでも作ってくれないかな (= ワ =*)





 日本未上映の本作をDVD化した配給元のサイト http://www.jvd.ne.jp/cine/newrosehotel/top.html
posted by lain at 20:23北海道 ☔Comment(0)映画

青二プロの巨星がまたひとつ瞬いて流れた『大塚周夫』

 かまってちゃんな楊枝混入犯が逃走気分を堪能し、金を金で売買してる連中が泣き笑いで人生を狂わせ、何処がストロングポイントなのか良く分からないアギーレJAPANは勝ち癖が付いて来ただとか、意味が有りそうで無さそうなニュースが沢山溢れている中で、また我が身を削られるような訃報が目に付いた。大塚明夫さんの父であると説明するのが失礼に当たるほどの名優である”大塚周夫”さんが亡くなったのだ。



 あるときは頼り甲斐のある上官。またあるときは行く手に立ち塞がる敵の首領。そしてまたあるときは戯けたピエロに徹し、その声からは優しさと厳しさが滲み出ていました。

 あまりにも沢山の良い役があるので、これと一つあげることが躊躇われるわけですが、近年の中で一番印象的だったのはやはりMGS4での親子共演でしょう。



 英霊たちの前で邂逅する二人のスネーク。散々大塚明夫のさんの声は渋くて格好良いとか思っていても、こうして親子が会話しているシーンを見れば、一目瞭然で周夫さんの声の深みが勝っていることを思い知らされ、人生の重さが声の重さであると痛感します。

 先人は順当に行くと先に流れ落ちることが決まっている星です。だからその星が瞬いているうちに、色んなことを学び小手先の技術ばかりではなく、己の人生そのものを磨いて欲しいなと若い役者に思うの同時に、自分もしっかり生きねばと身を正す思いでいっぱいになりました。



 ありがとう大塚周夫さん。。。。


posted by lain at 07:03北海道 ☔Comment(0)雑記

森博嗣先生じゃないけど、雑誌のバックナンバーを取り寄せる機会が増えましたw「SFマガジン 2012年 3〜4月号 『女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女』”レイチェル・スワースキー”(著)」小説

昨年、国内外のSF作家による”日本”を題材にした短編集「THE FUTURE IS JAPANESE」を読んだ際、まったく宇宙ともマシーンとも関係ない心霊現象もSFであると認識させてくれたレイチェル・スワースキーを気に入り、彼女の作品を日本語で読めるものを探していたらSFマガジンのバックナンバーにぶつかりました。

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もう既に様々な賞を受賞しているようですが、何故か日本で翻訳されているのは「THE FUTURE IS JAPANESE」に収録『樹海』と、SFマガジン2012年3〜4月号に掲載された『女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女』だけと言うのが辛い。

SFマガジンに掲載された「女王の窓辺にて〜」は、女性が高尚な存在とされている王国の魔女が、愚鈍で汚らわしい男共から王国と愛する女王を守ろうと偵察に赴いたところで、最愛の人である女王の差し金で命を落とすことになり、しかもその魂は成仏することも許されず、彼女の豊富な魔法の知識を求めた者達に度々現世の依り代へ呼び出されることになるというお話。

最愛のひとの最後を看取り、王国が滅び去った後に蔓延った愚かな男共の召喚を退け、時折マシに思えた召喚者に限り魔法を授けてゆく彼女。様々な召喚者を相手にしてはまた暗闇に帰ってゆく姿を見ていると、延々とコールドスリープさせられているようでもあるし、ウラシマ効果で周囲と違う時間を生きている宇宙飛行士にも見えて哀れに思えて来ます。


この作品からは女性作家らしい女尊男卑的な表情も見え隠れするけれど、そうした考えに対する葛藤も書いているのが良いポイントでした。レイチェルさんのような作家さんから入れば、女性でもSF世界に馴染んで行きやすいような気もしますね。

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橘 賢亀さんによるイラストも素晴らしい




ほとんどファンタジー小説ではあるものの、時空を超える物語の終盤で魔法を科学的に定義しようとしている世代に入って行く辺りは紛れもないSFでした。柿沼瑛子さんの翻訳も相変わらず読み易くて良い。この手の作家&作品が世に出し難いというのは、まだまだ日本女性のSFファンが少ないということなのでしょうか?


SFは理詰めで面倒なイメージがあるやもしれませんが、専門用語が分からないままでも十分楽しめる物だと僕は思ってます。僕自身そうですからw

すべて物語を盛り上げるためのお化粧だと思って、一見さんお断り状態に見える表紙を手に取ってみて貰いたいですね(゜∀゜)


posted by lain at 07:13北海道 ☔Comment(0)書籍色々