夢なんて無い。でも希望なら、あなたがそうかもしれない...「amazarashi LIVE TOUR 2014「夕日信仰ヒガシズム」11/29 Zepp Sapporo」


 まったくの偶然ではあるが、今回も3曲目で泣いた。





 『勝てない訳ないよ自分なら 僕が一番分かってる 僕の弱さなら』


 酷く当たり前のことなのに、僕らは気づかず諦めている。そんなこと無いぞと語りかけて来るこの曲は本当に素晴らしい....


 それに、楽曲の良さもそうだが、更にライブ演出が成熟して来た気がした。公演開始前に会場内で流れるSEのような音楽の雰囲気作りもそうだし、「あとがき」後の真っ暗な中キャンドルを一斉に灯し「ひろ」が始まる演出の暖かさには本当に痺れた。会場に集まった全員を盛大に送り出すように「スターライト」で〆るまで、余すところなくステージを創り上げているのがとても伝わって来るのです。




 さて、ミニアルバム「あんたへ」を経て、より一層自分だけではなく、周囲への気遣いが籠った歌になった感のあるamazarashi。しかし、「夕日信仰ヒガシズム」は幸せを周りにもおすそ分けします的なアルバムではなく、頑なに自分には幸せになる資格が無いと言わんばかりの曲も多かった。当然ライブもささくれ立った曲と堂堂巡りな曲ばかりになる。だがやはり他者を思い遣っている歌(「ひろ」「それはまた別のお話」)を歌っているときの”秋田ひろむ”の優しさ純粋さは際立っていた。





 大人と子供の境界なんて何処にも無いけれど、確かに自分が汚れて行く感覚は味わう僕たち。秋田ひろむは「大人になったな」なんて言われたく無いと息巻くだろうけれど、確実に秋田ひろむも大人になりつつあるのだ。だからというわけでも無いけれど、夕日信仰ヒガシズムの楽曲に合わせて作られた映像は実写ベースのものが多かった。より内から外へ目を向けることが出来るようになって来た証拠かもしれない。


 大人になるのも悪いことばかりではない。良い面も連れて来る。触れたら直ぐにパキンと折れてしまいそうなほど鋭く磨かれたナイフも美しいが、どっしり地面に根を張り枝葉で周囲の者を雨露から守る樹も美しい。秋田ひろむはそんな樹の美しさを醸し出す大人へと進んでいる気がする。





 でも、もう少しだけ孤独な秋田ひろむと雨の中にいさせて欲しいと願っているのは僕だけでは無いことだろう。彼の紡ぐ雨音は心を逆撫でもするが、精神安定剤としても優秀だ。

 まだ、amazarashiとぼくらの物語は始まったばかりだと信じたい。






 セットリスト


  1.後期衝動

  2.ヒガシズム

  3.もう一度

  4.風に流離い

  5.穴を掘っている

  6.春待ち

  7.さくら

  8.少年少女

  9.雨男

  10.ラブソング

  11.冷凍睡眠

  12.あとがき

  13.ひろ

  14.それはまた別のお話

  15.ジュブナイル

  16.スターライト






 MCが全然無い、アンコールが無いと御不満の方も居たようですが、そのぶん身を削るような想いで一曲一曲を歌い上げていましたよね?



 「また来ます」と彼は言った。


 僕もまた、そう思った。






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posted by lain at 08:16北海道 ☔Comment(0)音楽

合作の落とし穴?「スノーピアサー」ポン・ジュノ(監督)

人類は何度となく滅亡して来た。物語の中で。


まるでそうなることを望んでいるみたいに何度ども何度も。



突飛な宇宙人の襲来で


少しリアリティのある天変地異で

地球規模のパンデミックで


ときには巨大ロボットが宇宙ごと滅ぼすなんてこともあった....




本作もそんな人類滅亡を描いているわけだけど、その理由が温暖化を防ぐ為に地球を冷やそうとして散布したよくわからない物質が、張り切り過ぎちゃって氷河期になったというマヌケな話で、この時点で笑ってしまったw


しかも何をどうメンテナンスしているおかげなのか、地球が氷に閉ざされてから17年間も動き続けている列車で人類唯一の生き残りが生活しているという設定があまりにありえない話で開いた口がふさがらない。





その列車では、階級制を強いて先頭車両に近ければ近いほど良い生活をしていて、最後方の車両の連中はゴミ屑同然に扱われていた。風呂には入って無さそうだし服はズタボロ。食料は配給制の羊羹みたいな真っ黒の合成されたプロテイン。まるで家畜小屋だ。

家畜であるからには、『必要』なときに否応無しに連れて行かれる。何をさせられるのか分かっている者もいれば、理由も知らされずに連れて行かれる子供もいる。

そして、もしも逆らえば零下何度ともしれない外界がどれだけ恐ろしい場所なのかを、その身をもって思い知らされることになるのだ。


そんな酷い環境の中で育った反感の種が開花し、主人公たちは先頭車両を目指して反乱を起こすことになるのだが、その道すがら目にする車両環境が面白い。プロテインの生産工場、果樹園、そして水族館の水槽トンネルのようなセクションや学校・サウナまであり、まさかの黒人がやってる寿司屋の車両まである。こんな列車で旅行が出来たら退屈はしないことだろう。

だが、「面白い」と思えるのはそこまで。反乱を鎮圧しに来た連中との死闘などの派手なシーンもあるが、物見遊山しているだけの時間が多く正直ダレる。おかげさまで抑圧する者される者、そのどちらもがマヌケに見えてしまって全然自体の深刻さや悲哀を感じられなかった。人類が氷河期の到来により死滅するまでの道筋や、主人公が過去に背負った大きな罪など、大事な肉付け部分がほとんどモノローグでしか語られないのもイマイチ。

ガンダムのコロニー"スィート・ウォーター"じゃないが、入れ物さえ作ればそれであとはなんとかなるという製作陣の安易な考えが透けて見える内容でした。もっと人間ドラマに重さが欲しかったです。

いっそもっと難しいことを切り捨てた、おちゃらけた内容にすれば、泣き笑い出来る映画になったかもしれません。米・韓・仏の合作ってのが悪かったのでしょうか?ポン・ジュノ監督の「母なる証明」や「殺人の追憶」が好きだったので、本作の中途半端な人の業の描き方は面白くありませんでした。

(;´Д`)<擦り合わせ大変だったんでしょうけどねぁ....




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posted by lain at 07:19北海道 ☔Comment(0)映画

誰が加害者で、どちらが被害者なのか?「キャプテン・フィリップス」トム・ハンクス(主演)

 後味の悪い映画だった。







 ※ネタバレマスっ



 何が胸糞悪いって、将来への不安はあってもまだまだ安定した生活を送っているアメリカ人船長と、間抜けなシージャックの主犯である若者以外、軍の手によって機械的に殺されてしまったこと。そして、そんな胸糞悪い展開に陶酔しているアメリカ人の小綺麗な正義がチラつくまとめ方だったことだ。


 ドキュメンタリーに限った話ではないけれど、アメリカと言う国は本当の意味で公平な物の見かたをした作品を作るのが本当に下手だ(日本も似たようなもの)。どうしても敵を敵としてだけ描くか、敵を敵たらしめてしまった責任に酔った内容にしがち。船長の救出が失敗に終わり犯人共々死んでいたら、シージャック犯に少しでも同情していた船長や、事件解決に尽力した海軍達の美談を描いた映画では無いことを証明出来たことでしょうね。それはそれで後味が悪かったでしょうが....



 常に自分達は風上に居たい国アメリカ。その上から目線を止めなきゃいつまでも敵は減らないでしょう。コバンザメな日本も同じように見られているであろうことを肝に銘じなければないないなと思いました。


 それにしてもここまでミリタリー要素の濃い映画とは思ってなかったです。シージャックが起きた時、船舶がどんな対応をするだとか、救助の要請に軍がどう動くかばかりを描かず、もっと犯人達が海賊行為に走らなければならなかった理由を重く表現して欲しかった。


 途中までリアリティのある演技をしてたトム・ハンクスも、終盤に近づくと演技が臭くて臭くて嘘っぽかった。無力なおっさん役としては適任でしたけどね....




 どうもムカムカする映画でしたが、人間の命の重さは平等では無いことをしっかりフィルムに収めたことだけは良かったのかもしれません。





 公式サイト http://www.captainphillips.jp/
posted by lain at 21:06北海道 ☔Comment(0)映画