レトロとか化石とかいうものじゃない。コレでしか味わえない良さがある「シャーロックホームズ」三谷幸喜(脚本)/人形劇/感想

 人形劇というと、アニメやゲームに居場所をどんどん奪われ、最近ではめっきり出番が少なくなったコンテンツなイメージがありますが、今回”三谷幸喜”脚本のシャーロックホームズを見たら、アニメでもゲームでも絶対出せない味わいを感じて凄く面白かったです。



 イギリスのドラマSHERLOCK』が世界的にヒットした流れに便乗して作られた物なんでしょうけど、同じ土俵ではない人形劇を選び、しかも原作の内容を学園モノに仕立てて”人が1人も死なない”シャーロック・ホームズ”にしてしまった辺り、流石三谷幸喜だなと思いました。第三話であのアイリーン・アドラーが現れたエピソードも上手に学園モノとして昇華されていました。まあ、校長先生が生徒に浮気の相談するのはちょっと無理がありますけどねww

IMG_4929.JPG
※シャーロックホームズでお馴染みのキャラが個性的なディフォルメで生まれ変わった
IMG_4928.JPG
IMG_4927.JPG
IMG_4930.JPG
IMG_4932.JPG
IMG_4933.JPG
IMG_4934.JPGIMG_4935.JPG
※瞳以外ほとんど動かないのに、なんと表情豊かなことだろう


 平面のアニメや、正確なモデリングでキャラを造形するCG作品には絶対出せない手作りの質感が物凄く良いです。セットの作り込みも凄いけれど、無骨で愛嬌のあるワトソンや、底知れぬ何かを瞳に湛えたホームズ、その他登場人物も作り手の苦労を労いたくなるほど魅力的な造形に仕上がっていますよね。



 それに人形を活き活きと動かしてみせるスタッフの素晴らしい働きっぷりには感服します。人形劇は絶対次代に伝えてゆかなければならない芸術ですね。

 フジ◯レビの「すべてが◯になる」の製作陣に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ......




posted by lain at 21:12北海道 ☔Comment(0)てれび

君が笑うから、僕も笑う「nano.RIPE ONE MAN LIVE TOUR 2014「有色透明」札幌COLONY 10/26」感想

 どうも、人混みが苦手なくせにライブと映画だけは行く僕です_(._.)_ペコリ

 今回はそう、近年青春アニメに欠かせないバンドになりつつあるnano.RIPEを見学しに行きました。



 いつものように、何度も聴いていながらも曲名をほとんど憶えず、どの曲でどんなコール・アンド・レスポンスがあるのかさえ知らず突入。少々毛並みの違う(アニメ好きそうな男ばかり。男と女の比率は4:1くらいかな?....)ファン達の会話からマニアックなキーワードが出るたびニヤけてしまったw


 残念ながら、ソールドアウトとはいかなかったようだけど、車椅子の方や、看護の付き添いが必要そうな方まで会場にいらっしゃっていて、今までに参加したどのライブとも少し違う感じがしました。

 そしてなにより、思っていた以上にnano.RIPEはロックバンドでした。きみコさんの全力を振り絞るボーカルもそうでしたが、ギターもベースもドラムもパワフルでガンガン来てました。特に「マリンスノー」は格好良かったなぁ♪


 正直に言って、nano.RIPEの曲は飛び抜けて凄いものがあるわけではありません。何処かで耳にしたメロディラインと歌詞なのです。ところが、そこに"きみコ"さんの声が収まると、何故か全てが輝き出すから不思議だ。他の誰かが同じ歌を歌ったとしても、ここまで心地良くはならないことだろう。ワンフレーズで誰が歌っているのか分かってしまうような特徴的な声をしていることは、歌手にとって1番の強みになると思います。たとえ本人が自分の声にコンプレックスを抱えていたとしても...


 懐かしい青春時代の情景が蘇るような歌詞とボーカルで魅了しつつ、笑顔で楽しげに歌いファンと和気あいあいな雰囲気を共有しようとするきみコさん。独特な仕草を入れつつ作品世界を全力で表現する姿はすごく魅力的でした。アンコール曲の「影踏み」の冒頭をマイクから離れて歌い、きみコさんに続いてファンが徐々に歌い始めたのにもグッと来るものがありました。ファンとの良い関係性を随所に感じるのです。



 まだまだ色んな面で荒削りな気はしますが、マイペースなリーダーやイケメンで痺れるベースさばきのアベノブユキくんなどバンドメンバーも魅力的なので今後の活躍も期待したいところです。

 とりあえず彼らのパフォーマンス以上に、もうちょっとファンが会場へ来て欲しかった。こんな人数じゃないと思うんですよ彼らの曲を好きな北海道の人の数は。せっかくフェリーに長い時間揺られながら来てくれたというのに、これじゃあ次に繋がらないことになってしまいます。

 一応来年も来る予定があるそうですが、人が集まらなければ当然ライブなんてやらなくなるのが世の理なので、好きな人は是非来年会場まで行って下さい。北海道まで来なくなってから後悔するのだけはやめたほうが良いw


  



セットリスト

 1.透明な世界
 2.なないろびより
 3.リアルワールド
 4.もしもの話
 5.水性キャスト
 6.雨を待つ
 7.僕なりのおとぎ話
 8.アドバルーン
 9.よすが
 10.祈りうた
 11.ゆきのせい
 12.フラッシュキーパー
 13.マリンスノー
 14.ツマビクヒトリ
 15.絶対値
 16.フォルトファインダー
 17.きせつの町
 18.タキオン
 19.三等星
 20.パトリシア

 アンコール
 21.架空線
 22.影踏み
 23.面影ワープ



今後のツアー日程

 ■2014年11月1日(土)【岡山】岡山CRAZY MAMA 2nd Room
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年11月2日(日)【岡山】岡山CRAZY MAMA 2nd Room
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年11月8日(土)【福岡】福岡DRUM SON
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年11月9日(日)【福岡】福岡DRUM SON
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年11月29日(土)【大阪】OSAKA MUSE
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年11月30日(日)【大阪】OSAKA MUSE
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年12月6日(土)【石川】金沢AZ
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年12月7日(日)【石川】金沢AZ
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年12月13日(土)【宮城】仙台MACANA
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年12月14日(日)【宮城】仙台MACANA
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年12月20日(土)【愛知】名古屋Electric Lady Land
 OPEN 16:30 / START 17:00
 ■2014年12月21日(日)【愛知】名古屋Electric Lady Land
 OPEN 16:30 / START 17:00








posted by lain at 23:37北海道 ☔Comment(0)音楽

不完全とは、可能性の宝庫である「一九七二年のレイニー・ラウ」打海文三/小学館/2004年/小説/感想

 また一つ、打海さんの遺産を受け取った。

 今回の「一九七二年のレイニー・ラウ」は、骨太な群像劇だった「ハルビン・カフェ」と打って変わって小難しいことは一切無しの、大人な恋愛が粒ぞろいの一冊。


『香港でわかれた女性レイニー・ラウに主人公が二十五年ぶりに再会を果たす表題作をはじめ、借金とりたてに訪れたやくざと主婦の危険な関係を描いた「花におう日曜日」、美しい背中の女性と知り合い、著者自身の小説観まで投影される「ここから遠く離れて」など、静かに心を打つ八篇所収。あなたが出逢えたかもしれない「恋人」たちがきっとここにいる―珠玉の恋愛小説集。』
byBOOKデータベース





 恋とか愛に何度となく敗れて来たような中高年の老いらくの恋であったり、淡い恋の傷を負った娘を持つ母親の同姓相手な火遊びだったり、互いの傷に親近感を憶えて始まる恋だったり、何処か断念した過去を引きずって生きているような者達の、互いの体温を恋しいと思いつつも距離を取ろうとする焦れったさや、身体を貪りあった後の別れの切なさが狂おしいほど伝わって来て最高でした。成就しない関係性であっても、その一瞬一瞬の情熱だけは嘘では無いと言う幻想が美しいのです。完成された恋の行き詰まった姿より、不安定で不完全な恋の行方の方がわくわくするでしょ?


 性も年齢も生き方も超えた、打海文三さんらしい愛の数々は本当に面白い。最後に自伝では無いかと思える二編と、あとがきも合わせて、これほど打海文三という人が出ている作品は無かったかもしれません。

 『恋愛小説を書いてみたいと思うなら、あなたが<出逢えなかった人>について書けばいい。』

 と、打海文三さんは言う。

 しかし、こうであったら、こうであったかも、こうであって欲しかった、そんな想いが次々と架空の物語を紡ぎ、愛しい登場人物達と鋭く刺さる言葉の数々を生み出して来たのだとしても、それだけの価値観に到達する経験を打海さんはして来たのだろうと僕は思う。少なくとも、僕のような薄っぺらい人生を送って来た人間よりは濃い生き方だったはずだ。



 希望的観測ではあるけれど、そんな幻想を押し付けたくなる作品を遺したあなたが悪いのですよ打海文三さん。

 文句があったら新作で語ってください.....(/_;)

今回も良い打海文三さんでした。大人達のありえたかもしれない出逢いの数々素敵やん。


posted by lain at 12:45北海道 ☔Comment(0)小説