深い愛を求めたら、世界は急に狭くなる「恋と病熱」/磯谷友紀/秋田書店/2014年/漫画/感想

 近年、マニアックな志向が至極当然のように市民権を得て、禁忌を犯しているような感覚が甘美に思えるBLだの百合だのと持て囃されていますが、そんな同性への愛と同じかそれ以上に禁忌に思える愛の形が近親相姦では無いかと思います。漫画やアニメでもいっぱい描かれていますよね?「みゆき」「輪るピングドラム」「恋風」「コクリコ坂から」等々.....



 禁忌とはいえ世界中で当たり前のように近親交配は行われて来た歴史はあります。特に国のてっぺんに位置する人達の話ですね。純血を護ることで自分達が特別であると信じたかったのでしょうなぁ....

 確かに近親交配すると、自ずと同じような身体的特徴を持つことになりますから、精神面でもやはり近い物になるため相当結束力は高まりそうな気はしますが、同族嫌悪と言う悪い面も出て来そうな気がします。

 しかし、同性愛もそうだけど、自らの弱味を特別な説明無しに他者と共有出来るという安心感があることでしょう。心の平穏を求めるなら、異性より同性、他人より血族を選んで当然なのかもしれません。



 僕も若い頃、世の弟にありがちな姉の下着や制服に悪戯するなんてこともありましたが、近親相姦を激しく渇望した記憶はありません。ただ、ひとつ上の姉に対して『僕の物』的な感覚はその昔確かにありました。性格こそ違うけれど、理想を求め過ぎて現実の異性とは上手く付き合えないような不器用さだとか、漫画や音楽等様々な創作物に対する貪欲さだとか、母が同じような髪型にカットしていたせいもあり見た目が双子のようだったせいもあり、非常にフィーリングが同調していた時期が姉とはあったと思います。

 ところが20を越えて数年、社会に揉まれ理想に挫け、急に男に逃げてしまってから、プッツリと姉への共感は無くなりました。同志に裏切られたような感覚だけが今もなお残っています...



 前置きが長くなり過ぎてあれなんですが、本作はそんな変質的な一面もある兄弟愛と言う存在が、忌み嫌われるという世界のお話で、しかもただ仲が良いだけではなく、性的な繋がりと言う意味で互いを強く求めてしまうから、2人目の子供を作ったら里子に出さなければいけないと決められていて、絶対に兄弟は近づけてはならないと扱われているのが非常に面白い作品なんです。

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 兄弟と書いていますが、実際には兄妹であったり、三姉妹であったり色々なんですが、それぞれ愛の形に違いがあって、なんとなしに惹かれているけど血の宿命に素直になるのが怖いという感覚の子であるとか、兄弟の特殊な絆を忌み嫌う社会に反目する団体の代表を親に持つ子供達の苦悩であったり、子育てには興味無いのに子供をその身に宿す神秘性だけは愛している女性の生々しさであったりと、一筋縄で行かない内容にSFちっくな恐ろしさなんかも感じてとても楽しめました。基本はあくまでも恋愛漫画ですけどねw

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 狭い世界で更にミニマムな世界を愛す少年少女の絆が、羨ましいと感じた僕は、立派に道を踏み外しているのかもしれませんね。


(= ワ =*).。oO今更か.....


posted by lain at 03:17北海道 ☔Comment(0)漫画