完全犯罪もいいけど、ドラマ制作は計画的に頼みますよ...「CRISIS ~完全犯罪のシナリオ」/FOXCRIME/2014年/海外ドラマ/感想

 アニメを集中的にまた観るようになって、めっきり新しい海外ドラマの開拓が滞っている僕ですが、久し振りにこの方が登場する作品だったのでコレ一応チェックしてみました。



 先月FOXCRIMEで放送を開始した本作、まだレンタルの予定なんかも決まって無いかな?

 整形でもしてるのか?って気がするほど昔より綺麗な「Xファイル」のジリアン・アンダーソンが一応主演のこのドラマ、大使館の息子やら大企業のCEOの子供やら大統領の子供までが通う名門学校のスクールバスが何者かに襲われるところから始まります。

 バスの襲撃から1人の子供を助けて逃げ出したSPや、姉に預けていた自分の子供が攫われて心中穏やかじゃないFBI捜査官が必死に子供の行方を捜索しているあいだにも、恐怖で管理され続けるVIPの子供達。天下のFBIを後手に回らせるほどの綿密さで誘拐を実行した連中は一体何者なのか?まさかという人物が首謀者であるのが1話目でバラされ、しかもなにやら深い理由があるようなので案外先が気になる展開が面白く、要人の子供達の身体に発信機が仕込まれていたり無人機を飛ばして捜索したりするアメリカらしい大袈裟さも良かった。


 ただ、誘拐されたのがVIPの子供という時点で、貧乏人な僕はあまり可哀想な気分にならないというのと、首謀者の人の見た目からイマイチ非情さを感じられない(首謀者だと分かるまでの流れは良かった)ので、緊張感に欠けているのが勿体無い感じ。子供を人質に要人達を個別に脅す連中とFBIの駆け引きで少しずつ明らかにされてゆく誘拐犯達の目的。そこに誘拐された子供達とその親達の葛藤が盛込まれ、なかなか良いテンポで進む社会派ドラマであるだけに、緊張感が弱いのは残念過ぎます。


 しかも放送開始した早々打ち切りが決まってるんですよねこのドラマ....

 確かに初回の視聴率が今じゃ半分に落ち込んでますけど、アメリカでも3月に放送をスタートしたばかりの作品をたった数話で打ち切り決定にしちゃうとかマジ半端無いですねアメリカ。

脚本が悪いのか、ジリアンの出演料が高いのか、理由は色々あるでしょうけど、最終的に制作へGoを出した会社にも責任があるわけですからちゃんと完結させて欲しいですよね。まあ早々に決まったことで脚本を修正する余裕が出来たかもしれなせんが、さて、どうなることやら...





宇宙世紀ファンの未練が産み落とした隙間産業「機動戦士ガンダムUC」/古橋一浩(監督)/福井晴敏(原作)/サンライズ/2010〜2014年/アニメ/感想

 1979年に放送を開始した初代から次々と続編や外伝が作られ、今ではメディアを問わない広がり全て把握するのは困難な状況になりつつあるガンダムブランドですが、肝心のガンダムアニメの方向性は最近微妙な気がします。

 初代をほぼ知らない若い世代から大きな支持を得たガンダムSEEDは、僕ら中年の宇宙世紀ファンにとって懐かしいシチュエーションをナヨナヨした少年達がなぞっているだけに感じてキャラ観CP観しか出来なかったし、ガンダム00は骨太な社会派ガンダムになるかと思いきや、スーロボも真っ青な地球外生命体とのコンタクト話になって、これはこれで面白いけどガンダムでやらなくて良かった感が強かった。その後の大風呂敷を拡げ過ぎてまったくキャラに深みが出なかったガンダムAGEについては最早無かった物にされつつある。完全なガンダムファン向けアニメとしては、1番新しいビルドファイターズは秀逸だったと思うものの、やはり骨太な脚本がガンダムには欲しい。


 そう言う意味では、ここ数年中年ガンダムファンの期待は「ガンダムUC」に注がれていたと僕は思う。長らく記されていなかった宇宙世紀に連なる作品だったからだ。

 
※UCガンダムは覚醒する前の方が好きだなぁ (= ワ =*)



 2人の偉大なニュータイプが散った「逆襲のシャア」から3年が経った宇宙世紀0096年を舞台に、その箱を開けば連邦が滅亡すると伝えられている”ラプラスの箱”をめぐって始まった争いに主人公が否応無しに巻き込まれてゆくと言うストーリーが、非常にガンダムらしい展開で原作者である福井晴敏氏がいかにガンダムが大好きか分かる内容なのですが、オマージュの仕方が巧みなのでSEEDやAGEよりは鼻に付かないのが良かった。 

 しかも大好きな逆襲のシャアから間も無い時代背景の為、懐かしの登場人物・場所・MS等等、御馳走が満載。この先の宇宙世紀作品ガンダムF91やシャアのクローンが出て来る「ガイア・ギア」等へちゃんと繋がるような見せ方も時代考証に合っていて上手かったと思います。

 MSの戦闘シーンからも細かいこだわりを感じたし、富野ガンダムらしさまで感じる台詞回しも好感触。ただちょっと、富野セリフより独り言感が強いのと、根っからの悪い人がほぼ居ないので甘ったれた主人公共々生易しい気がします。節目節目でナンジャそりゃ!って言いたくなるほど綺麗にまとまり過ぎてましたしね。原作は読んで無いので元からそうなのか分かりませんが、話数が少ないからか人間関係に深みを出し切れていない気がしました。今まで全然絡みが無かったあの人とあの人が最終話でイキナリ分かり合っちゃう感じは違和感たっぷりだったし、ガンダムはやっぱり最低でも2クール分は必要だと思います。特にこれだけの規模で展開する作品なら尚更です。


 結局終盤は福井作品らしい綺麗に見せ過ぎるやり方と三角関係のもつれでリアリティが薄れてしまったガンダムUC。でもラプラスの箱の正体は僕的に有りだったのと、映画好きな福井氏らしいミネバのオードリーと言う偽名設定なんかも嫌いじゃ無い。だからこそもう少し練り上げて欲しかったかもしれない。また未完の大器が世に出回ってしまった気分でいっぱいです。

 もしかしたら宇宙世紀ファンより、初代からの流れを知らないガンダムファンが観た方が楽しめたりして?...



 かれこれ35年以上語り継がれているガンダム。いつかガンダムも宇宙世紀みたいに100周年を迎える時が来るのだろうか?

 もしもその時までガンダムの系譜が途切れていなかったら、どんな100周年ガンダムが作られるんでしょうね。

 もしも生きていたら僕も100歳だけど、きっと死んでるだろうな(・x:.;:…






 ガンダムUCの完結編episode7は各配信サイト、劇場にて公開中です。

   
■PlayStation®Store■J:COM オン デマンド
■KDDI Video Store■バンダイチャンネル
■アクトビラ■Xbox Video
■TSUTAYA TV■ひかりTV
■ビデオパス■milplus
■U-NEXT■LEONET
■iTunes 

■東京:丸の内ピカデリー/新宿ピカデリー/シネマサンシャイン池袋/TOHOシネマズ六本木ヒルズ/MOVIX昭島【NEW】
■神奈川:川崎チネチッタ/横浜ブルク13/TOHOシネマズ海老名【NEW】MOVIX橋本【NEW】
■千葉:京成ローザ⑩/シネプレックス幕張/MOVIX柏の葉【NEW】
■埼玉:MOVIXさいたま/MOVIX川口【NEW】
■茨城:MOVIXつくば【NEW】
■栃木:MOVIX宇都宮
■群馬:MOVIX伊勢崎【NEW】
■新潟:イオンシネマ新潟南【NEW】
■静岡:MOVIX清水【NEW】
■宮城:MOVIX仙台【NEW】
■札幌:札幌シネマフロンティア
■大阪:大阪ステーションシティシネマ/なんばパークスシネマ/MOVIX八尾【NEW】
■京都:MOVIX京都
■兵庫:神戸国際松竹
■愛知:ミッドランドスクエアシネマ/MOVIX三好【NEW】
■富山:TOHOシネマズファボーレ富山【NEW】
■岡山:MOVIX倉敷【NEW】
■広島:広島バルト11【NEW】
■愛媛:シネマサンシャインエミフルMASAKI【NEW】
■福岡:福岡中洲大洋/シネプレックス小倉【NEW】
■熊本:TOHOシネマズ光の森【NEW】








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posted by lain at 23:06北海道 ☔Comment(0)アニメ

身を心を切り裂く筆の音が聴こえて来そうだ『フォグ・ハイダ』/森博嗣/中央公論新社/2014年/感想

今の”森博嗣”の本気を見たかったら、このシリーズを読むしか無い!と、言いたくなるほど大好きな森博嗣チャンバラ活劇ヴォイド・シェイパシリーズ。

先月出た第四弾「フォグ・ハイダ」もすこぶる時代劇で最高でした。

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少しだけ自分を取り巻く環境が見えて来た主人公"ゼン"は、今回盗賊の片棒を担いでいる凄腕の侍”キクラ”と関わったことで、剣術道場の跡取りを廻る策謀に巻き込まれることになるわけですが、相変わらず二律背反する想いを内に抱えながらも、美しい剣技を持つ侍と相対する事を止められないゼンの葛藤が森博嗣さんらしい流れの美しい文体で書かれていて実に面白い。

特に今回は大勢の敵と渡り合うことになる、林の地形を活かした斬り合いのシーンがとても印象に残りました。少ない言葉であそこまで読者に動きを感じさせる森さん流石です。命のやり取りでしかない剣の応酬の美しくも虚しい様子が実に森さんのテイストにマッチしてるんですよね。落ち葉の中に身を隠している時の回想も良かったなぁ.....

本シリーズは、主人公のゼンが自分の振るう刀の正しい在り方にあれこれと想いを廻らせ、命懸けの美しいやり取りの中で少しずつ成長してゆくのがメインなわけですが、ちゃんと女っ気も用意されてるのも上手いですよね。よく見ると可愛らしい宿屋の女性だの、忍仕込みの女盗賊だの、手の施しようの無い病いを患った美人だの、流しの三味線弾きのお姉さんだの、男ばかりでムサ苦しくなりがちな時代劇に外せない彩りだと思います。まあ、今回は特に女っ気が多かった気もしますけどね。ゼンを影で見守っているナナシという忍も女性でしたし(あ、ネタバレw)


さて、そんなヴォイド・シェイパシリーズですが、当初の予定していた全五巻にはまとまらないと森さんが言っているので、ゼンが都まで旅路でどんな善を育み、どんな剣を磨いてゆくのか?まだまだ先が読めるのは嬉しい。

剣を極めることの虚しさに思いを馳せるゼンに、筆を走らせる意義を模索している森博嗣さんの気持ちがダブって見える作品でもありますし、少しでも長く読んでいたいものです....
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毎度楽しみにしてる美しい装丁、帯を外すと更に美しいですよね(ウットリ)





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『素晴らしくベタな日本の様式美がここに「スカル・ブレーカ/森博嗣」/中央公論新社/2013年/小説/感想』
posted by lain at 08:08北海道 ☔小説