恋でも曇らぬ瞳で事件解決っ?!「ハイリコ 第2巻(完)」/箸井地図(漫画)/坂本光陽(原作)/2014年/集英社/グランドジャンプ/感想

 抜け目無く変装した犯罪者から、サイン色紙の真贋まで見抜く事が出来る『超絶記憶認識能力(ハイパー・リコグナイザ)』が非常に新鮮だった若き女探偵"能見マナ子"ですが、彼女の魅力はそれだけではなく、普段はマヌケそうなのに、肝心な時には天然なのか狙ってやっているのか判別出来ない演技派なところを見せることでしょう。彼女のテンポにちょっぴり乗せられミスリードされてしまうサジ加減が、本作のミステリーとしての個性にちゃんと繋がってましたね。最後の最後もハイリコらしい洞察力を披露しててとても良かったです。


 今回は1巻目とは正反対の「陰」な表紙からも分かるように、箸井さんのダークさが活きた2巻目でした。マナ子ちゃんの笑顔も少なかったし...。しかし、まぶたに眼を描いた誘拐犯や、それを裏で操る変装名人で宿命のライバル的な犯人も現れ、その犯人がなんとあいつの○○だという展開は面白かった。

 このぐらいのボリュームでテンポ良く終わらせるのが効果的だとは思うのですが、予想以上に能見マナ子というキャラクターが魅力的でしたので、正直まだまだ彼女と堂本君の煮え切らない関係性共々、続きが見たい気分でいっぱいになりましたね....本当にこの巻で完結なのが残念です。


 Twitterを見ていると、同じように「もう終わり?」と残念がっているファンが多く見られました。原作を努めた”坂本光陽”さんが番外篇として、本作に登場した天願刑事目線のTwitter小説を公開してるので、知らなかった方は坂本さんのツィートを1月16日まで遡ると良いかと思います。

 箸井さんの魅力的なキャラは当然素晴らしかったわけですが、坂本光陽さんの原作も非常に面白かったですよね?お店に並ぶような商業的な本はハイリコが初めてだったようですが、小説・コミックの投稿・販売サイトである”E★エブリスタ”で5冊ほど公開してらっしゃるので、こちらもチェックしてみたくなりましたwこれからも漫画原作続けて頂きたいものです♪



 いつも気付けば単行本が出ている箸井さん。

 次は一体どんな作品が現れるのか楽しみに、首を洗って、いや、首を長くして待つこととしましょうか (= ワ =*)


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箸井地図HP http://www.interq.or.jp/ol/chizu/

箸井地図Twitter https://mobile.twitter.com/chizu_hashii

坂本光陽Twitter https://mobile.twitter.com/kouyousakamoto9

グランドジャンプサイト http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/i/hyreco.html

E★エブリスタ http://estar.jp/.pc/_crea_u?c=U2FsdGVkX18xXOTc5MDkyNmYeU3XrjOxXxXvOCDvaqmcVI1




関連過去記事
『超絶記憶と雑誌乱立の狭間で「ハイリコ」/箸井地図(漫画)/坂本光陽(原作)/2013年/集英社/グランドジャンプ/感想』
http://lainblog.seesaa.net/article/378388363.html
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さよならは言いません。また逢う日まで....「TRICK トリック劇場版ラストステージ」/堤幸彦(監督)/仲間由紀恵/阿部寛/2014年/映画/感想

 小ネタの宝庫TRICKが本当に終わった。

 気がする....




 いつも通り怪し気な奴のインチキを暴いて欲しいと依頼された”上田”は、これまたいつも通り”山田”を道連れにする。そしていつも通り人死にが出て、いつも通りピンチに落ち入る2人。

 投入している小ネタの量や、海外でのロケがメインであること、そして”北村一輝”がヤバかった(いや、これもある意味いつも通りか....)こと以外、なんら変わることの無い平常通りの姿だったTRICK。その変わらないいつも通りが、やはりTRICKの真髄でありました。

 所構わず貼られた習字。意味がありそうで無さそうな固有名詞。フーディーニ。気絶。貧乳。ヅラ。

 何もかもが楽しかった....(過去形)


 今回のラストステージは、12日に放送したTVSPより正直謎解きはショボいし、沢山有名な人が出演していても、小ネタの充実に使われている感が強く、一つの作品として見るなら、まとまりはけして良く無かったものの、今までのTRICKシリーズを思い起こさせるネタが満載であったことは良かったです。ファン大望のあいつや、矢部の小さなお友達なあの子も出て来ましたしね!d(。ゝ(ェ)・)

 最後の最後で、トリックの14年間で仲間由紀恵がいかに変わったかが分かるラッシュ映像が使われていたことも、何とも言えない感慨深い気持ちにさせてくれました。TRICKが無ければ、これほど仲間由紀恵が有名な女優になることも無かったかもしれませんね....



 明確な結末提示を避け、観客それぞれに答えが出そうな締め方を選んだラストステージ。山田奈緒子の最後にも、色んな見方が出来ますよね、例えば.....(ネタバレなので、見たい人だけ反転して下さい↓)

 1.爆発からなんとか逃れたものの、記憶喪失で上田と出会った頃までの記憶を無くしていたから、がめつい山田はまたも美味しい話に乗せられ、上田の前で同じマジックを披露して賞金をゲットしようとしていた。

 2.爆発からなんとか逃れ、一時的な記憶喪失になっていたが、なんとか記憶を取戻し、自分が本物で生きていることを証明するため、始めて出会った時に披露したマジックを再現してみせた。

 3.結局爆発で山田は死に、その際1年後”死後の国”から連絡を取ると約束していたのを果たしに霊体として現れた(直前に上田に逢いに来た山田の母が、上田を不憫に思い奈緒子を現世に呼び出したのかもしれない.....)




 どの可能性もあるし、どれであってもしみじみ見入ってしまう良いラストでした。

 大人の理由が色々と重なったために最後にするのでしょうけど、またいつか、このデコボココンビの活躍する姿が見てみたいものですね。

 絶妙な間と、アドリブの応酬。良いスタッフと良い役者に支えられた本当に良いシリーズだったなぁ.........






 公式サイト http://www.yamada-ueda.com/movie/



 関連過去記事

 『泣いても笑っても、残すは劇場版ただ1つ.....「TRICK トリック 新作スペシャル3」/堤幸彦/テレビ朝日/2014年/ドラマ/感想』
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塩基配列では証明出来ない絆「八日目の蝉」/成島出(監督)/角田光代(原作)/ 2011年/映画/感想

 鳥類には”刷り込み”というものがある。産まれて直ぐ眼前に捉えた対象を親だと認識する習性で、相手が犬だろうが象だろうがお構い無しに、産まれたその時から”親子”が成立してしまうのだ。


 「鳥って馬鹿だな」


 そう思うだろうか?だがしかし、残念ながら刷り込みは鳥類だけの習性では無いのです。ほ乳類にも起こりうることなのだそうだ。

 流石に人間は産まれて直ぐに眼にした対象を、とはいかないようですが、もしも育てる親が入れ替わっていたとしたら産まれて間も無い赤ん坊に判断が出来るはずもなく、そのまま育てられれば必然的に目の前で微笑む相手を親と呼ぶようになるわけです。

 「八日目の蝉」は、そんな危うい生き物の習性が招いた哀しい物語でもあるかもしれない....




 妻がいる男を愛した女が、その男との間に出来た子供を下ろしたところ、一生子供を作れない身体になってしまい、そんな矢先、男の妻に子供が出来たと知った女は、一目その子供を見たい衝動に駆られ、男の家に侵入し、出来心で子供を連れ去ってしまう。

 子供が4才になった頃、女はとうとう捕まってしまい、映画の冒頭は、その女と、その女に子供を奪われた母親の陳述から始まります。

 真っ暗な中から浮き上がる、産みの母と、育ての母。憎しみを隠せない女の言葉と、満足気な女の後悔の無い言葉。どちらに非があるかは明らかなのに、どちらが敗者なのか分らない裁判風景でとても印象深い。

 その後は、大きく成長した女の子が当時の事件について書かせて欲しいと懇願するライターと、誘拐犯と過ごした場所を巡って進行するのですが、偽りの母娘の過去話が兎に角切ない。いつ終わりを迎えるか分からない生活に怯えながらも、子供の笑顔に励まされ、子供に出来ることを精一杯やろうとする女の必死な姿と、それを慕う子供の盲目な愛情表現。もう途中から本当の親子では無いことを忘れてしまいそうだった....

無論、子供を奪われた母親にしたらたまったものでは無いだろう。作中でも何度か手元に戻った子供とコミュニケーションが上手く取れず実母がヒステリックになっていた。女性の中には、この誘拐犯の女に全く共感出来ない人も多いかもしれない。誘拐犯の母性ばかりが美化されて描かれているのも、公平さに欠けて納得出来ない理由になりそうだ。


しかし、この二人が育んだ愛情に嘘は無い。誘拐犯は確かに娘を愛し、娘も母を愛した。大事なのその事実なのだ。

誘拐によって本当の親から愛し方を教えて貰えなかった女の子が、忘れ去っていた過去を辿る旅で、わずか四年間であっても確かに愛されていた事実を思い出して涙する姿は、二人の愛が本物だった証拠でした。

 いっそ人間にも刷り込みの習性があれば良かった。そうすれば、誘拐した女のことを母親だなんて信じずに居られただろうし、こんなにやり切れ無い想いに悩まされることも無かったのだから。



憐れみだけで観てはいけない物語だけれど、あの微笑ましい母娘を見ていたら、1日でも長く二人の幸せな時間が続いて欲しいと、タイトル通りまんまと思わされる作品でしたね。

それにしても、1番悪いのは子供を下ろさせた浮気な旦那ですな。同じ男として非常に嘆かわしいです....(/ω;\*)
posted by lain at 07:10北海道 ☔Comment(0)映画