今一歩踏み込みが足りないベンぼっちゃま映画「ザ・タウン」/ベン・アフレック(監督・脚本)/2010年/米国/感想

 年間300件を超える強盗事件が起きる街チャールズタウン。主人公"ダグ"もそんな強盗を生業にする男だった。入念に練った作戦で、無駄に誰かを撃ったりぜず、人死は出さずに人質を取ることもしないで幼馴染の悪友達と手際よく金を奪って来た。

 しかし、昔から兄弟同然に育って来た仲間の一人が、無駄に人質をとってしまう。人質は無事解放したものの、人質にした女性が自分達の住む地域に住んでいることに気づき、万が一にもバレないように口封じしようとするのだが....







 産まれた場所が悪いのか?


 変わろうとしない住人達が悪いのか?


 どちらが悪いにせよ、否が応でも僕ら人間は環境に影響を受け、人間としての基礎が作られてしまいます。


 運良くそれをバネにして生きることが出来れば、アメリカンドリームを手にするのでしょうが、ほとんどの場合は自分の身の丈に合った生き方を死ぬまで受け入れ続けることになる。


 今作の主人公ダグも、そんな自分の運命を受け入れて他人から金を奪い続ける生き方に身を投じてしまっているのですが、自分達が人質にして傷付けてしまった女性と会っているうちに、産まれたときから雁字搦めな自分の運命を変えようと思うようになります。


 まあ、要するによくある足抜けしようとして更に泥沼にハマるパターンのストーリーなんですが、自分を悪者にしたく無いベン・アフレックの甘さが滲み出て邪魔しているような気がしました。



 彼の周りを固めるメンツは案外悪くなくて、ダグの親友"ジェム"の自暴自棄な生き方は生々しく、彼らを執拗に追うFBI捜査官として配役された「MAD-MEN」のドン役"ジョン・ハム"の演技も新鮮で面白い。


 だが、人を殺したく無いと良い子ちゃんぶって友人に手を汚させ、自分が計画した銀行強盗で心に傷を負った女性に本気で恋したあげく、どちらに対しても完全に責任を取ったとは言えない結末を書いて満足したベン・アフレックの甘さに、お坊ちゃん的めでたさを感じて、いささか興を削がれてしまいました。


 結局自分さえ良ければ良い男の自己陶酔なんです。




 日本でも主人公とヒロイン以外はどうなっても構わないのかと、突っ込みたくなるような作品が多いですが、アメリカは特に「自分」を中心した作品が多い気がします。せめてダメダメな自分に絶望の色を隠せないくらいの哀愁をベン・アフレックが出せれば良いのですが、相変わらずの利口ぶったお澄まし顔のため、イマイチ彼が自分の罪の重さを理解しているように思えません。役への入り込みがあまり得意な人では無いのでは無かろうか?キムタクみたいに……



 ベンは利口な「つもり」の脳筋野郎な単純キャラの方が合ってますね。いつからか分かりませんが、勘違いして賢い自分を演出し出したように思えます。「アルマゲドン」で跳ねっ返りの若い男役をやって、ラスト近くで泣き崩れる演技してた時の方がよほど良かった。


 評価の高い「ゴーン・ベイビー・ゴーン」は観たことが無いけれど、彼が監督や脚本をメインで担当した作品はどんどん微妙な物になって来ている気がしています。「アルゴ」なんて事実を元にしているから非情に政治色が強いのに、真実をよく調べもしないでアメリカの正当性ばかりをクローズアップしていたため、薄ら寒い気持ちでいっぱいになりましたしね….




 多分10年前の僕なら、こんな甘ちゃんの自己満足に感動していたと思います。


 でも今は、自分の責任を棚に上げ、美味しいところだけを攫って行こうとする主人公にはちょっと共感出来そうにありません。まともな生き方を夢見たダグに比べたら、現実を受け入れて他人を巻き添えにしたジェムの方がよほど潔い人間でした。まあ褒められた生き方じゃ無いんですけどね(´・ω・`)














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posted by lain at 21:22北海道 ☔Comment(0)映画