あぁ、薔薇色の青春はいずこへ?「四畳半神話大系」/湯浅政明(監督)/森見登美彦(原作)/マッドハウス/2011年/アニメ/感想

現在最終話へとひた走る、阿呆なタヌキアニメ「有頂天家族」の原作者"森見登美彦"さんの初アニメ化作品で、うっかり2話目を録画し忘れ今の今まで観ていなかった「四畳半神話大系」を見終わった。




理想の女性像である『黒髪の乙女』と出逢うべく、「薔薇色のキャンパスライフ」なる都合の良い展開を期待し、大学デビューするべくサークル活動に勤しみ出す主人公なのだが、持ち前の無駄に高いプライドと押しの弱い性格があだになり、何をしても上手くいかない。ついでに他人の不幸で御飯3杯イケル口の”小津”と言う幼稚で悪質なイタズラ三昧な男とズルズル付き合うようになり、一つも薔薇色ではない不毛な日々を過ごすようになってしまう。

そして最後にこう思うのだった

 「もしもあの時こうしていたら」と...



毎話基本的構造はこの繰り返しで、頭でっかちに思考を重ね目の前に転がっている可能性からあえて目を背け続ける主人公がキャンパスライフを何度もやり直すと言うもの。

自分の枠を自分で決めつけ前へ進めない主人公の二年間は、彼が住まうアパートの四畳半と言う狭過ぎず広くも無い中途半端だが均等の取れた空間そのもののようで、作品性とタイトルがしっくり来るのが面白いなと思いつつ、ついつい主人公の小気味良く続くモノローグに聴き入ってしまいました。

セリフ回しも独特で、スマホなどが存在しているから現代が舞台であるはずなのに、完全に昭和の人々の堅い喋り方のようでした。大学という存在がが活力に溢れた場所であった頃を呼び起こさせます。日本の古典を相当愛して止まない作家さんなのではなかろうか?

おかげで劇中何度も使われるセリフ「無類である」「責任者はどこか?」などを、これまたついつい使ってしまいたくなるのだが、本作を知り得ない人々相手に胸を張って使っても無駄なので非常に歯痒い….



とにかく、面白おかしく主人公の駄目っぷりと小津の天才的な天邪鬼具合を描きつつ、冗談のようなサークル活動を個性的な登場人物達と繰り返す展開はとても心地よい悪夢でありました。最終的に主人公が一歩を踏み出し一皮向けるのも清々しい。

僕も、いつでも機転が効いてソツ無くなんでもこなすのに、愛想の「あ」の字も無く蛾が苦手で"もちぐま"というブサ可愛いマスコットが無いと復活出来ない"明石"さん(ヒロインである)みたいな女の子とお近づきになりたいものだ。

既に苦々しい青春を終えてしまった身であるものの、不完全燃焼勝負ならば本作の主人公にも負けないと日本国にお墨付きを貰えるはず・・・




まあそんなわけで、同じように頭でっかちで臆病な男共をわざわざ奈落へ落とし込んでから救いあげるという離れ業をやってのけた四畳半神話大系は、相当アニメーションによる演出が上手くいったところもあったようですが、原作も相当面白いものとお見受けします。もしかすると長台詞はアニメの方が合っていて、原作で読むと食あたりを起こす可能性もあるかなとも思いますが、実際どうなのでしょう?化物語はアニメが断然消化に良かった僕ですがw


にしても現代に実際はびこっている駄目駄目な男をこんな高いレベルで描いているのが普通に女性作家だというから驚かされますね。男以上に男を観察出来ているように思えます。

主人公の身の回りだけに限られた世界観で、一体どこまで物語を膨らませることが出来るのか?そんな森見登美彦さんの挑戦は、生々しい男の弱さをどこまで表現出来るかに掛かっていたのかもしれません。

予算内で収めなければいけない製作陣も大いに刺激を受けて実験的な映像作りに勤しんだことでしょう。いい化学反応を見せて貰えました。

こうでなければ原作ファンどころかアニメファンにも認めて貰えないですよね(ゝω・)b




そういや"やくしまるえつ"のなんとも言えぬ色気も良かったなぁ♪





公式サイト http://yojouhan.noitamina.tv/

森見登美彦ブログ http://d.hatena.ne.jp/Tomio/
posted by lain at 08:38北海道 ☔Comment(0)アニメ