良い映画に必要な物、それはなんだろう?「アーティスト」/ミシェル・アザナヴィシウス(監督)/2011年/フランス/映画/感想

時は1920年代後半から30年代前半、ハリウッドが映画界の聖地として認められ始めていた頃のお話。

当時の映画は俗に言う白黒映画。しかもセリフや効果音は一切無い無声映画だった。

唯一映画を盛り上げるのがオーケストラの演奏。それ以外は、わずかな文字情報と大袈裟なボディランゲージから観客の想像力で補うしかないのだ。

しかしその限られた情報量だからこそ、わずかな表情の変化を見逃さないように観客はスクリーンに釘付けになる。役者の動き全てから喜怒哀楽を読み取ろうとするのです。

そうして感じた哀しみ、喜びは、いつも当たり前のように垂れ流されている現代の映像作品よりも遥かに感動的かもしれない。ただ一方的に与えられるだけの映画ではなく、地味でも自らがその映画の一部になったかのように感じられるからです。


今作のストーリー自体は使い古されたメロドラマで、トーキー映画(声等の音が有る映画)の台頭で落ちぶれ、大衆に忘れ去られてゆく人気俳優の哀愁と、そんな彼を見てられない上り調子な若手女優のひたむきな想いが中心になります。

正直目新しい事は一つも無い映画です。しかしメロドラマに欠かせ無い恋の障害となる関係配置がたまらなくベタで良い。一目惚れに近い出会いから、いつの間にかライバル関係になり、最後には上下逆転でお互いを求め合う事になるのが懐かしさを通り過ぎて新鮮に思えるほどだw

脇を固めるダメダメになってゆく男を支える初老の運転手や、最後の最後まで彼の元に居続ける愛犬の愛らしさも半端じゃなく切ないし、無声映画を商業的な目的から切り捨てる関係者のいやぁ〜な感じも良く出てましたwww


今回「アーティスト」を劇場で観て、改めて役者の声も効果音も無いからこそ、喜怒哀楽をいかに伝えるかを追求していた時代の良さを感じました。現代映画のような、色鮮やかな映像や、役者達のクリアな甘い囁きがなくとも、僕らにはそれを補える想像力がある。全てを与えてくれる映画では、これほどに僕らの脳は活性化しないでしょう。

無声映画だからただただ地味な映画なんだろうと敬遠している方も多いでしょうが、まったくそんな事はありません。特に女性には最高の時間を提供してくれる映画です


無声であって無声では無い、古いのに新しい映画の誕生を是非劇場で味わって下さい♪



最初はカラーで作られたそうだが、白黒にして正解でしたね♡(*´∀`)


公式サイト http://artist.gaga.ne.jp/
posted by lain at 10:43北海道 ☔Comment(0)映画