こくはく【告白】 [1]心の中に秘めていたことを、ありのままに打ち明けること。「告白/松たか子/中島哲也/2010年/映画」

 小説「告白」は救い様の無い人間模様と、母の愛の恐ろしさに溢れた作品でしたが、映画版は....

 

 味わい方は小説と映画で違うので、どちらが優れているかというのは難しいですが、まず間違い無いのは、原作を知っている人でも確実に気に入るだろうと言うこと。映像化すると、上映時間の関係上登場人物の背景が省略されがちなのですが、元々主要人物達の告白で構成されている作品なので、そういったカットで作品の持つテーマが損なわれているなんて事はありませんでした。

 それどころか映像にした事により、物語の根底に流れる生身の人間の苦しみが、より伝わり易くなったように思えます。これは、役者の演技云々より、演出の勝利と言えるでしょう。印象的なカットの数々と、舞台を観ているかのような小気味良いテンポ感。近年まれに見る映像構成だったと感じました。特にラスト近くのシーンは目を見張る出来だと言えます....

 日本アカデミー賞で「悪人」を抑え、最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞を獲得した時は、何故「悪人」が最優秀作品賞を取れなかったのかと思っていましたが、観終わった今は「告白」の方がよりふさわしいと思いますねw「悪人」は役者と音楽で映画を撮り、「告白」は作り手と演出で映画を撮ったという感じ。


 映画版を観終わった後、原作と同じように確かに救いの無い世界ではあったものの、小説版では感じなかった愛情をわずかに僕は感じました。これは、松たか子という役者がなせるワザだったのでしょう....正直小説版を読んだ時は、”我孫子武丸”さんの「殺戮にいたる病」を思い出してしまった。この本から僕は、告白と同じく自分勝手な理由により人を殺める者達への憎悪を感じたのです。それも、とびきり過激な軽蔑の眼差しを感じるほどに.....それに比べると、ただの憎しみでは説明出来ない母性が映画版の女性教師にはあった。ですからスッキリ度では映画の方が勝っていますねw原作のままで終ってしまったら、あまりにも救いが無さ過ぎる....

 
 救い様の無い世界に流れた無数の涙...その流れた涙は、見た者一人一人の心を作る種になる事でしょう....原作付きでも毎回これくらいやってくれると、もっと日本映画も劇場に観に行くのになぁ(;¬∀¬)ハハハ… 



 映画版公式HP http://kokuhaku-shimasu.jp/index.html 



 関連過去記事

 『本当に怖いのは、殺人犯でもHIVでもなく、母の愛だった...「告白/湊かなえ
posted by lain at 23:33北海道 ☔Comment(0)映画