2017年01月19日

変わりたい気持ちに性別も優劣も必要無い「ぼくらのへんたい 1巻」ふみふみこ/COMICリュウ/徳間書店/感想

人は何かしらの問題を抱えた時、似たような境遇にある誰かを潜在的に求めたりするものですが、今のようにネットが在って当たり前な時代は、案外あっさり赤の他人と悩みを共有出来てしまうから、逆に有り難みを実感していない人も多いのでは無いでしょうか?

それこそ本作の舞台が30年前の日本であれば、女装する理由を抱えた10代が同志を見つけるなんて、夜のお店が立ち並ぶ繁華街へ足を踏み入れるしか無かったのではないか?とさえ思えて来ますし、まだまだ肩身が狭いとはいえ、現代日本において性別に関するストレスを抱えた人達は幸運なのかもしれません。



この作品は、三人の女装少年達がオフ会を開くところから始まります。

溺愛していた娘が死んだ事を受け入れられない母親のために、家へ帰ると姉そっくりに女装する少年

幼い頃のトラウマの影響で好きな男の先輩が望む通りに女装し、自分を偽り傷つけ続ける少年

普段の姿は男装で、これは女装では無いと感じている少年

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三者三様の理由がそこにはあって、同じように見えて同じではない彼等の想いが交錯し、傷つけ慰め合い、かさぶたが硬くなるみたいに少しずつ大人になって行くほろ苦さがなんとも味わい深い。彼らを取り巻く周囲の人達の心模様についても触れていたのが大きく、少々女装した時の少年感に物足りなさがある絵ではあっても、切っても切れない性的な表現も含め避けては通れない部分に触れているからこその生々しさがありました。

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三人の中で中心的な存在の青木 裕太。女装している時の”まりか”と変わらず普段から可愛らしい
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と、詰襟を評し
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初めてのオフ会で気持ち悪いと言われたことに気落ちする純粋な子



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まりかを傷つけた張本人の木島 亮介
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しかし、母のために”ユイ”へと変貌する彼はガチで病んでいる....


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三人共に見ていて辛い瞬間が多いが、田村 修くんが女装して”パロウ”として生きている瞬間が一等苦しかった......



僕は特に、幼少期のトラウマから糞ったれな男供に身を委ね、自らを貶め続ける少年が自分にダブって見えて仕方なかったです。別に同じような境遇にあったわけでは無いのですが、このままじゃ自分が駄目になるだけだと分かっているのに依存し続けてしまう彼の姿には身につまされるものがありました。変わりたい。変わらなきゃいけない。そんな気持ちが僕の中で燻り続けているのでしょうね....

女装云々に限らず、変わりたい人の気持ちを動かす良い漫画です。



※AmazonのKindle Unlimited を利用していれば、1巻だけ無料




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2017年01月16日

親しき仲にこそ劣等感あり「おとなりコンプレックス 1巻」 野々村 朔/クロフネコミックス/感想

「もしも生まれ変わるなら、男と女どちらが良い?」

なんて会話を人間生きていれば1度や2度すると思いますが、特に多感な年頃には身体も出来上がっていないため、何故自分は男(女)に生まれてしまったのだろうと、子供の頃思い悩んだ方も少なく無いはず。

ところが 、女装や百合なんて言葉が普通に飛び交う今の時代でも、意外と男女共に同じ性別に生まれ変わりたい人の割合が多いと統計が出ているそうです。生涯未婚が女性10%のところ男は20%だったり、出生率は多いのに早死にするから人口比率は女性の多いなど、数字だけ見ても僕などは女性に生まれ変わった方が利点が多いように思うのですが 、案外男でいる事を気に入っている男性が多いものだと思いました。立ちション出来るのが大きいのだろうか?

せっかく生まれたのだから楽しまなきゃ勿体無い

そういう気持ちがちゃんと行動に現れていて、男のように考えるだけで満足するような控えめな面がまるで無いのが女性の良い所であり、悪い所でもあるけれど、綺麗に化粧を施し、色鮮やかで全く機能性が皆無な可愛らしい服に身を包み、その余剰エネルギーをお前は何処で発散するつもりだ?と側から言いたくなるほど甘い物を喰らう姿を羨ましい以外の言葉で言い表すことなど出来やしない。月1の鬱陶しい血の儀式は要らないなぁと思うものの、僕はやっぱり生まれ変わるなら女になりたくて仕方ない。


だがしかし「おとなりコンプレックス」に出て来る男の子ほど女装が似合うなら、男に生まれる方が楽しいような気もする。





大学に入っても兄弟みたいにべったりな幼馴染の男の子(幼い頃から女装させられていた)と女の子(何処からどう見ても爽やかなイケメン)が、年相応の色恋に巻き込まれ、互いのコンプレックスと向き合いつつ幼馴染から男と女として意識するようになって行くという、良い意味で普通の少女漫画展開が読んでいて楽しかったり辛かったりで面白い。女装とイケメン女子という逆転カップルな設定があるだけで、これだけありふれた内容が面白くなるんだなと思った。好きかもと思っていた合コンで知り合った男子が、女装した幼馴染を女だと思い込んで付き合いたいと言い出した時のイケメン女子の心理描写や、自分だけの物だと思っていたイケメン女子が他の男と仲良く会話しているのを女装したまま見守っていた男の子の気持ちなど、本当に甘酸っぱくて酷く羨ましい。

野々村 朔さんの女装表現は、ただ女の子の絵に実は男の子だという設定を付け足した物ではなく、何処となく骨格に男の特徴が残っている匙加減が良い。イケメン女子も、その時々で女性らしさが垣間見える瞬間があって、ちゃんと二人の感情が男としての物なのか、女としての物なのかを表現出来ているような気がした。特にイケメン女子が作中可愛らしい女の子に萌えるシーンや、女装男子が嬉々として女物の服選びをしているシーンにリアルさを感じた。同性愛者だろうが異性愛者だろうが、自分の中に絶対異性としての思考が誰にだって少なからずあるわけで、そこを意図的に呼び覚ませば僕らはもっと自由に生きられそうである。




結局のところ、僕は同性愛者でもないから、無い物ねだりを拗らせ女性に憧れているだけかもしれない。

だけど、簡単に手に入るものならば、誰も憧れたりしないことだろう。

もしもRPGのように、自分で性別を選べるなら、あなたはどちらを選びますか?

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2017年01月14日

久しぶりにADVゲームがやりたくなった「ひぐらしのなく頃に」竜騎士07 / 07th Expansion(原作)/今千秋(監督)/アニメ/感想

 大勢の人が、日テレで凛々しいナウシカの勇姿を眺めている裏で、僕はせっせと「ひぐらしのなく頃に」をNetflixで観ていた。





 舞台となるのは、バブル時代幕開け寸前の日本で、ダム開発により無くなる可能性まであった小さな村”雛見沢”。建物は木造、道路は土、水車が回り、ピンクの公衆電話で小銭を握りしめる人の姿まである、昔ながらのど田舎。主人公は東京から転校して来た男の子で、古くから村の仕来りを引き摺る人々や、見えざる何かに飲まれていき.......あとはご想像にお任せしますという趣味の悪いサスペンスホラー。タチが悪いのは聞いていたけれど、実際に見て観ると本当に悪趣味で辛く、心身によくない溜息が毎回出てしまいました。なにせ、つい数分前まで楽しげにしていた者同士がいきなり殺し合いを始めるような、感情の落差の表現が強烈で、萌えキャラの顔が恐ろしく歪む作画も印象的だったし声優陣の演技も真に迫るものがありましたから。

 テレビ放送当時、時代が時代で、田舎のわりに服装や子供達の性格が現代的であるのが少し気になり、1話で観るのを止めた作品だったものの、心の何処かにひぐらしのなく頃にが引っかかっていたようです。お陰ですっかり新作アニメは放置状態。何もそこまで独り善がりになって自滅して行かなくとも良いだろうに?と、突っ込まずに居られない連中の、同じに見えて同じで無い季節を何度となく描き、彼ら彼女らに何が起きたのかを雛見沢の謎と一緒に収束させていく展開は本当に楽しめた。実に同人PCゲーム発らしい作品です。大体の構造が見えてしまった今、1期ほどの驚きは訪れそうに無いが、なんだかんだで2期以降も気になって仕方ない。




 それはそうと、登場人物配置が酷く懐かしのミステリーやホラーを連想させる本作。そりゃ実写にしたくなるのも無理の無い話だと思うのですが.....



アニメまでで止めときゃ良かったんじゃないかな?.....

ドラマ版はちょっとだけ見てみたいけどw
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